ガンバ大阪の盟主返り咲きに必要なキャスティングとは?

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by Getty Images

 かつて2005年にJ1優勝を果たし、2008年にはアジア王者の座にまで登りつめたガンバ大阪。しかし昨シーズン、名門はまさかのJ2降格を経験。そして、1年でJ1に昇格して迎えた2014年、Jリーグの盟主に返り咲くため、頂点を目指して新たなスタートを切った。

 その開幕戦、ガンバはホームで浦和と対戦し0-1で敗戦。点が取れなかった。その改善点は――。

 単刀直入に、そう問われたガンバ大阪の長谷川健太監督は、「考えます」と言って苦笑いするしかなかった。

キャプテンの遠藤保仁は、前半FWとしてプレーし、後半は本来のボランチにポジションを戻したキャプテンの遠藤保仁は、前半FWとしてプレーし、後半は本来のボランチにポジションを戻した その後に、守備における手応えを口にし、攻撃に関しては「ちょっとまだ寂しいので、うまく機能するようにしていきたいと思います」と続けた。

 プレシーズンの練習試合でも、主力組が出場したゲームではなかなかゴールが奪えなかったが、この日もゴールが遠く、チャンスも数えるほどだった。

 前半は浦和が攻め込み、後半はガンバがボールを保持していたが、1試合を通して見れば、浦和が主導権を握っていたといえる。後半のガンバは、引いた浦和の術中にハマって、ボールを"持たされていた"印象が強かった。

 スコア以上の差があるとは言わないが、スタイルの浸透度やチームとしての狙いの共有という点で浦和に一日の長があった。昨年から長谷川監督が指揮を執るガンバは、まだ、キャスティングや選手の立ち位置を模索している段階といえる。

 ガンバが43分に喫したこの日唯一の失点は、コーナーキックの流れから。一度はクリアしたが、それが浦和の阿部勇樹に渡り、シュートを槙野智章に押し込まれた。「コーナーキックからの失点を減らす」ことをテーマに掲げ、ゾーンからマンツーマンの守備に切り替えていたガンバにとっては痛恨の失点だった。

 だがこれは、アンラッキーな要素が強く、事故のようなもの。指揮官も口にしたように、ディフェンス面での奮闘は、たしかに光っていた。

 とりわけ前半、5トップ気味の布陣で圧力を掛けていた浦和に対し、ガンバはディフェンスラインと中盤がマークをしっかりと受け渡しながら対応した。

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