2013年Jリーグ、名波浩が選んだ「ベスト11」
今季も最終節まで熾烈な戦いが繰り広げられたJリーグ。各チームの選手たちも最後まで素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。なかでも、輝かしい活躍を見せ、J1全クラブの監督、選手から選ばれた11人のトッププレイヤーが、12月10日に開催される『Jリーグアウォーズ』で表彰される。その発表を前にして、ここでは解説者の名波浩氏が独自の視点で選出した2013年Jリーグの『ベスト11』を紹介したい。こちらも是非、お楽しみください。
GK
東口順昭(アルビレックス新潟)
昨季終盤に負傷して、序盤戦は戦列を離れていたが、復帰してからはすぐにレギュラーに定着。今季、非常に伸びた選手のひとり。キャッチングの安定性はもともと高かったけれども、守備から攻撃へ、という部分でも力を発揮。正確なスローイングなどで、攻撃の起点となっていた。いい守備がいい攻撃につながって、後半戦は大躍進したアルビレックス。2ステージ制であれば、セカンドステージ優勝だという。東口がその立役者であったことは間違いない。
安定した守備を見せて、チームの勝利に貢献した中澤佑二。DF
中澤佑二(横浜F・マリノス)
水本裕貴(サンフレッチェ広島)
那須大亮(浦和レッズ)
中澤佑二は、35歳ながら全試合に出場したのが、とにかく立派。クリア数はリーグ3位(144本。1位は清水の平岡康裕=164本、2位は甲府の青山直晃=154本)と、ゴール前での強さも健在だった。安定した守備力を誇り、彼の存在自体がチームを落ち着かせた。相手のセットプレイにおいても、中澤がいることでピンチを防げたし、彼のボールを跳ね返そうというメンタリティーが、チーム全体にも浸透していた。優勝できなかったのは残念だったが、中村俊輔とともに、F・マリノス躍進の原動力だった。
水本裕貴は、3バックの左に位置して、中央の千葉和彦とともに、チームの守備を統率。随所で高いリーダーシップを発揮し、連覇の要因のひとつだったリーグ最少失点(29点)に貢献した。今季は3バックの右が森脇良太(浦和レッズ)から塩谷司に代わったけれども、それでバランスを崩すこともなく、自分の役割をきちんとまっとうした。これまではある程度守備に比重を置いてプレイしていたけれども、今季は攻撃で前に仕掛けていくシーンも再三見られた。
リーグとアジアチャンピオンズリーグを平行して戦うレッズは当初、那須大亮については、主力を休ませたいときなどのバックアップ選手と考えていたと思う。しかし守備的なポジションならどこでもこなせる那須は、最終ライン、ボランチなど、大事なところで重宝して使われ、DF永田充が負傷すると、完全にレギュラーに定着。チームの上位争いに貢献した。とりわけ、DFながら9ゴールを奪った得点力は秀逸だった。
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著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍