2013.11.03

ナビスコ杯決勝、柏と浦和の間にあった「差」とは何だったのか?

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 指揮官の美学、チームのスタイルがここまで正反対なのも珍しい。そのコントラストがゲームを緊迫した展開にさせたのは、間違いない。

『スタイルにこだわり、結果と同じくらい内容も重視する』浦和レッズと、『徹底的に分析し、相手の良さを封じることで優位に立とうとする』柏レイソル。対照的な両チームによって争われたナビスコカップ決勝は、柏が1-0で浦和を下し、99年以来の聖杯を手に入れた。

14年ぶりにナビスコカップを制覇した柏レイソル。MVPは工藤壮人が受賞した 浦和がボールを回し、柏が守ってカウンターを狙う構図は、最後まで変わらなかった。

 浦和と同じ3-4-2-1のシステムを採用し、オールコートのマンツーマンで応戦した柏が許した決定機は、阿部勇樹に飛び込まれ、フィニッシュされた後半25分の場面くらいのものだった。

 柏がそこまで完璧に浦和の攻撃を封じ込めた理由のひとつは、浦和の2シャドー、柏木陽介と原口元気への対応に見出だせる。
 
 相手の2シャドーがボールを受けようと自陣に下がっても、柏DFの谷口博之と渡部博文がなるべく付いていき、ボランチと5バックが近づいて、互いにカバーしやすい距離を取る。

 特に原口へのケアは徹底していて、シュートを1本も許さなかった。粘り強く対応した渡部が振り返る。

「監督からは、原口選手がドリブルして来たら、抜かれてもいいから距離を開けずアタックするように言われていたんです。たとえ抜かれても、次の選手が足を出して自由にさせなかった。ボランチの栗澤(僚一)さんと茨田(陽生)が引いてくれて、(自分が出た分の)スペースを埋めてくれたのも大きかったと思います」

 入念なスカウティングと周到な対策がハマったのは守備だけではない。柏は、攻撃においても、浦和のウイークポイントを巧みに突いている。