W杯本大会へ向けて、ザックジャパンは方針転換するべきか?
W杯本大会まであと8カ月。10月、11月には欧州遠征が行なわれる日本代表だが、これまで、格上相手の試合で自分たちの力がどこまで通じるのかの「腕試し」という印象が強かった。そのため、「何がなんでも勝つ」という姿勢があまり感じられなかったように思う。
9月の2試合では連勝。コンフェデの3連敗を糧にチーム力のアップを目指すザックジャパン もちろん強豪相手に自分たちのサッカーがどのぐらい通用するかを見るのは重要で、今まではそれでよかった。ただ、W杯本大会で「自分たちの100%の力でやりきりました、でも負けました」で終わってほしくない。自分たちのスタイルを貫いて負けても、自分たちの力がなかったからと潔(いさぎよ)く負けを認めて終わるようなことはしてほしくない。もがいて、もっと勝負にこだわってもらいたいということだ。
ブラジルですら、スペインやドイツに勝つためにどうするかを考える。日本も、もっと勝つためにどうするかをいろいろ考えなくてはいけないのではないか。ザッケローニ監督の志向するサッカーが軸にあったうえで、相手との力関係を見た時に、どうやって勝ち点を取るかをチームとして考える必要がある。
バルセロナやスペイン代表は、王者として自分たちのスタイルを貫く。王者だから自分たちのスタイルは変えなくていい。日本にもスタイルはあるが、格上と対戦する時、何らかの手を打たなければいけない。いろんな戦い方を持っていなければ勝利することはなかなか難しい。だからこそ、ザッケローニ監督は3-4-3システムを試すのだと思うし、さまざまな戦い方で、相手に揺さぶりをかけて、その隙を突いていく。
本田圭佑ら選手も言っているように、W杯出場国のなかで日本は強豪ではない。弱者とは思わないが、自分たちの立ち位置をしっかり理解したうえで、勝つためにいろんな手を尽くしてもらいたい。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。