香川、柿谷、南野...。若手を次々輩出する「セレッソの企業秘密」
育成環境で求められているのは
「グローバルスタンダード」
日本代表が初優勝を飾った7月の東アジアカップ。Jリーグでプレイする選手たちだけで臨んだこの大会に、セレッソ大阪は3人の選手を送り込んだ。得点王に輝いたFW柿谷曜一朗、大会MVPを受賞したMF山口螢、そしてMF扇原貴宏。彼らに共通するのは、セレッソの育成組織出身という点だ。
近年、セレッソで育った選手が続々と代表入り。先日のガーナ戦では、香川、清武、柿谷の3選手が先発に名を連ねた。
さらに、日本代表の常連メンバーであるMF香川真司とMF清武弘嗣、そしてコンフェデレーションズカップに出場したMF乾貴士も、セレッソから欧州へと巣立っていった選手たち。3人とも2列目のアタッカーとあって、代表の要である本田圭佑も「3人とも速くて巧くて、印象が似ている。セレッソの育成は興味深い」と語ったことがある。
そして、来年のワールドカップに向けて、重要なテストマッチとなった9月10日のガーナ戦では、柿谷、香川、清武の3人が日本代表の先発に名を連ねた。
なぜセレッソは、若く才能あふれる選手をこれだけ多く輩出できるのか。
その謎を探るには、下部組織、トップチームの両方に迫る必要がある。そのカギを握るふたり――育成部門の最高責任者を務める宮本功氏と、強化部長の梶野智氏を訪ねた。
かつて、セレッソの前身であるヤンマー(JFL)でプレイしていた宮本氏が、セレッソのフロントとしてクラブに復帰したのは、2004年11月のことだった。この頃のセレッソは、2002年にJ2に降格し、1年でJ1に復帰したものの、低迷が続き、チームにかけられる予算も厳しい状況だった。
「最初に目についたのは、育成環境の脆弱さでしたね。予算が少なく、積極的な補強ができないなら、なおさら自前の選手を育てなければならないのに、育成までお金が回っていない。どうにかお金の流れを変えて、仕組み作りをしなければ、と考えたんです」
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