【Jリーグ】2ステージ制復活案の是非。識者はどう見ているのか (2ページ目)

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◆2ステージ制の「デメリット」
田中誠氏(解説者/元ジュビロ磐田、アビスパ福岡など)
「複数のチームでポストシーズン大会を行なうとしても、2ステージ制だと、年間トータルで勝率の高いチームが優勝できない可能性がある。いちばん強いチームはどこなのかがはっきりしない」

鈴木正治氏
「1995年シーズンでは、最初のステージ(サントリーシリーズ)では、自分が在籍していた横浜マリノスが優勝して、次のステージ(ニコスシリーズ)では、ヴェルディ川崎が優勝。その後、チャンピオンシップではマリノスが2勝して年間王者になったけれども、サッカーの質はヴェルディのほうが良かったし、実際に年間通しての勝ち点はヴェルディのほうが多かった(ヴェルディ=108、マリノス=98)。だから、優勝したのはうれしかったけど、「年間王者」と言われても、なんとなくしっくりこなくて、モヤモヤしたものがあった。2ステージ制だと、気持ち的にすっきりしないものがある」

渡辺達也氏(サッカージャーナリスト)

「現状の18チームで、ファーストステージ、セカンドステージそれぞれで1回戦総当りという形で行なうと、ホーム、アウェーの試合の数がステージごとで異なる。要するに、不平等。実際、2003年シーズンのセカンドステージでは、1位~3位まで勝ち点26で並び、得失点差で優勝が決まったが、優勝した横浜F・マリノスはホームが1試合多くて、2位のジェフユナイテッド市原と3位のジュビロ磐田はアウェーが1試合多かった。その際、公平性を欠いていると感じた」

川端康生氏(フリーライター)

「J1とJ2でリーグ戦のシステムが異なることは、一般のファンにとってはかなりややこしい話。非常にわかりづらくて、知っている人が知らない人にルールを説明するのは、かなり面倒なことになりそう。テレビのニュース番組などで、開幕前にJリーグの大会方式を説明する機会があった場合、10分くらいの時間を要するようだと問題がある」

菊地芳樹氏(学研ストライカー編集長)

「ステージ制にすると短期決戦に近い形になるので、突貫工事で作ったチームとか、付け焼刃の戦術で戦うチームが出てきそう。長い期間でチームを作り上げて、いいサッカーをして、お客さんを集める、という考えには至らない可能性がある。あと、サッカーファンは、欧州各国の伝統あるリーグと違ったスタイルになることで、恥ずかしさを感じるというか、プライドを傷つけられるのが嫌なのではないか」

 以上、2ステージ制のメリット、デメリットを識者の方々にあげてもらったが、2ステージ制復活への賛否はどうなのか。すべての識者が、「本来Jリーグは、年間1シーズンで行なわれることが理想」という回答だった。ただし、人気が低迷している現状を考えると、「何か手を打たなければいけない。2ステージ制の復活も考えるべき」と、今回のJリーグ戦略会議で決まった提案に、賛同する識者の方が6人いた。

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