【Jリーグ】2ステージ制復活案の是非。識者はどう見ているのか

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
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 8月中旬、Jリーグは戦略会議を開いて、J1リーグの大会方式の変更を、9月11日に開催されるJ1、J2合同実行委員会に提案することを決定した。

 提案する案は、以下のふたつ。
(1)2ステージ制で各ステージの上位複数チームと年間勝ち点の上位チームなどが参加するポストシーズン大会を実施
(2)1シーズン制で上位チームによるポストシーズン大会を実施
1993年に開幕したJリーグは2ステージ制でスタート。それぞれのステージを制したチームがチャンピオンシップで年間優勝を争った。1993年に開幕したJリーグは2ステージ制でスタート。それぞれのステージを制したチームがチャンピオンシップで年間優勝を争った。
 戦略会議では、(3)シーズン途中で、上位と下位の2組に分けるスプリット方式(4)チームを数地域に分けて戦い上位チームでプレーオフを行なうカンファレンス方式も検討されたが、却下。上記の(1)と(2)を第1案、第2案として提案することに落ち着いた。

 そのうち、関係者の話では第1案が有力で、サポーターなどの猛反発により、一度は消滅しかけていた2ステージ制復活の可能性が再浮上。実行委員会で承認されれば、その後、Jリーグ理事会の審議を経て、早ければ2015年シーズンから2ステージ制の新たな大会方式が導入されることになるという。

 そこで今回、JリーグOBのサッカー解説者をはじめ、ジャーナリストなど識者14名に緊急アンケートを実施。2ステージ制復活についての賛否をうかがった。すると、賛成、反対、さまざまな意見があった。それほど、2ステージ制には、メリットもデメリットもあるということだ。まずは、賛否に関係なく、識者の方々が考える、2ステージ制におけるメリット、デメリットをそれぞれ紹介しよう。

◆2ステージ制の「メリット」
福田正博氏(解説者/元浦和レッズコーチ、元日本代表)
「Jリーグは今、露出がかなり少なくて、どのチームに誰がいて、どんな大会をやっているのか、知らない人が多い。粛々とやっている感じがして、コアなファンだけで盛り上がっている印象がある。それでは(人気の)広がりがないので、多くの人たちを巻き込んでいくような盛り上がりを作っていかなければいけない。2ステージ制を採用すれば、基本的には優勝が決まる瞬間というか、リーグが盛り上がる"山場"が1年で2回、チャンピオンシップがあれば3回に増える。ということは、メディアの露出が多くなるので、注目度が高まる。注目されれば、人も集まる。結果、テレビ中継やスポンサーが増えたりするかもしれない」

望月重良氏(解説者/SC相模原代表、元名古屋グランパスなど)

「ファーストステージで結果が出なかったとしても、そこでリセットされて、セカンドステージでは再びゼロからのスタートになる。当たり前のことだけれども、改めて優勝を狙えることで、選手のモチベーションは上がる」

鈴木正治氏(解説者/元横浜マリノス、名古屋グランパスなど)

「もし現状の18チームで、ファースト、セカンド、それぞれのステージで1回戦総当りという形でやるのであれば、短期決戦に近い形になるので、選手としては、最初から全開でプレイできる。すべての選手、クラブがそういう意識で戦うようになれば、ひょっとするとサッカーの質は上がるかもしれない」

杉山茂樹氏(サッカージャーナリスト)

「日本は、欧州とは風土が違う。そうした中で、年間通してのリーグ戦は浸透しなかった。それに、UEFAチャンピオンズリーグと違って、AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)に対する魅力もないから、ACL圏内(3位以内)に入れるかどうか、という盛り上がりもない。2ステージ制にすれば、盛り上がる機会が増えて、エンターテインメント度が上がる」

浅田真樹氏(スポーツライター)
「ナビスコカップや天皇杯なども、決勝戦になるとほぼ満員になる。つまり、タイトルがかかっている試合に対しては、誰もが魅力を感じていて、敏感であることは間違いない。そういう機会が増えることはメリット。そうした題材はメディアも扱いやすいので、露出が増える。それによって、普段サッカーに興味のない人、詳しくない人でも、関心を持つ可能性があって、必然的に人気の拡大につながるのでは」

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