セットプレイなしでも強い。「変身」した横浜F・マリノス

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 首位・広島を追う2位と3位の直接対決となったJ1第23節、横浜F・マリノス(FM)対浦和。接戦が予想された試合は、しかし、横浜FMが3-0で圧勝した。

 それにしても現在、横浜FMが強い。試合を重ねるごとに強さを増している。

 今季の横浜FMは、開幕6連勝でスタートした。とはいえ、内容的に見れば驚きに値するものはなかった。大黒柱であるMF中村俊輔が引いてボールを受け、チャンスに直結する一発のスルーパスを狙う。そんな"中村頼み"のサッカーだったのである。

浦和に完勝して首位に浮上した横浜F・マリノス浦和に完勝して首位に浮上した横浜F・マリノス 樋口靖洋・横浜FM監督が「セットプレイで点が取れるのは武器であり、強み」と語っていたように、確かにセットプレイでは圧倒的な強さを見せていた。事実、6連勝目となる第6節の川崎戦ではCKからの2ゴールで2-1と勝利している。

 Jナンバー1のキッカーである中村に加え、DF中澤佑二、栗原勇蔵というヘディングに圧倒的な強さを見せる選手を備えていることが、横浜FMの大きな武器となっていた。

 だが、言い換えれば、それだけだった。流れのなかから安定してチャンスを作り出すことはできず、6連勝の後は4試合連続で勝利から遠ざかった(2敗2分け)。ベテランの多い横浜FMだけに、早くも息切れしてしまったかにも見えた。

 実際、新旧の日本代表クラスの選手を揃え、戦力的には充実していながら、横浜FMのシーズン開幕前の評価が芳しくなかった理由のひとつは、主力選手の高齢化。長いシーズンを乗り切るのは難しいだろうというのが、多くの見立てだったからだ。

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