【日本代表】カウンターのお手本。
強豪フランスから奪った香川真司のゴール
【福田正博 日本代表スカウティングレポート Vol.28】
国際親善試合 vsフランス 後半43分 香川真司
○日本 1−0 ●フランス
2012.10.12 フランス・パリ
今回は、2012年10月フランス戦の香川真司のゴールを解説します。
このゴールは、終了間際にフランスのコーナーキックから日本がカウンターを仕掛けて、香川真司がゴールを決めるというゴールですが、ポイントになる選手は3人います。
ひとり目は、今野泰幸。自陣から長いドリブルをしてパスを出しました。そしてふたり目は、自陣から長いランニングをして、最終的にアシストをした長友。そして3人目はゴールを決めた香川ということになります。
フランスのコーナーキックからボールを奪って、今野が長いドリブルを仕掛けます。香川も前線にいました。乾も左サイドに残っていて、香川、乾が前線に残っていた。こういう形で残っていたので、右サイドに大きなスペースができていました。
今野がドリブルで仕掛けた時に、右サイドのスペースに、長友、そして内田も非常に長いランニングをしかけてきました。長友、内田はサイドバックで、90分近くプレイしていますが、非常にタフだということを象徴するようなシーンでした。最終的には内田ではなく長友にパスが出るんですが、このふたりは非常にいいランニングをしていたと思います。
そして、香川は最初、外で受けるような感じでポジションを取っていたんですが、たぶん長友と内田が(右のスペースに)入ってくるのが分かったんでしょう。ここでポジションを変えます。内側にポジションを取ることによって、相手のディフェンダーも少し中央にポジションを取りました。そして、右サイドに大きなスペースができました。最終的には長友が70メートルから80メートルぐらい、ここのスペースを使うためにランニングして行きました。
そこを見逃さずに、今野が、ドリブルをしながらもしっかりスペースが見えていました。
香川の入ってくるタイミング、長友の出て行くタイミング、そして、今野がそこに出すパスのタイミング。これは本当に素晴らしいタイミングだったと思います。そこにいい形でパスが通って、相手のディフェンダーが付いてきていましたが、長友のランニングに最終的にはついて行けずに、長友も、相当厳しいボールだったと思いますが、身体的な能力が高いので、よくここを折り返したと思います。
そして香川がいい形で内側に入って、パスが右に出ることによって、香川をマークしている選手はここで(長友に出された)ボールを見ることになるので、香川を見失うことになるんですね。結局、最終的には香川が誰のマークも受けずに、長友のパスを受けて、ゴールへ流し込むという形になったんですが、本当に絵に描いたようなカウンターアタックだと思います。
これは、しっかりした守備から、ボールを奪ったら攻撃に行くという気持ちが強くあったシーンでした。内田、長友の長いランニング、今野のドリブル、そして香川の動き。これらがすべてうまくはまった、見事なカウンターでした。
【ゴールのポイント!!】
1.今野泰幸の持ち運ぶドリブル
2.長友佑都の長い距離のフリーランニング
3.香川真司のゴール前に入る動き
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。