【日本代表】タイミングが絶妙だった遠藤保仁のゴール

【福田正博 日本代表スカウティングレポート Vol.26】
キリンチャレンジカップ2012 vsベネズエラ 
前半15分 遠藤保仁 
日本 1−1 ベネズエラ 
2012.8.15.札幌ドーム


 今回は、2012年8月ベネズエラ戦の遠藤保仁のゴールを解説します。

 このゴールでポイントになる選手は3人います。ひとり目は本田圭佑。そして、ふたり目はアシストした駒野友一。3人目はゴールを決めた遠藤保仁です。

 まず長谷部誠が本田に縦パスを入れます。この縦パスも非常にいい縦パスでしたが、重要なのは本田がここでしっかりキープできたということです。

 前線でキープをすることによって、駒野が前向きでいい形でボールを受けることができました。そして、駒野にボールが入ります。駒野はいい形で1対1を仕掛ける。

 このゴールで大きなポイントになるのは、駒野が1対1の仕掛けに勝ったということです。ここで1対1の仕掛けをして、股抜きで突破をして、ペナルティエリアのボックスの深い位置まで侵入することができた。

 このゴールが生まれたのは、まずひとつは駒野がここまで侵入できたということです。そして、ここに侵入したことによって、前田遼一もゴール前に詰めます。そして、岡崎慎司はボックスの少し外あたりでポジションを取っていました。

 ここ(ペナルティエリアの中)のエリアまで入ってくると、ベネズエラのディフェンダーは全員ボールウォッチャーになります。全員がボールを見ています。ここまで侵入されると、もう自分のマークの選手は見きれないです。

 そして、前田と岡崎が作ったここのスペース、特に前田の後ろのスペース、ここに大きなスペースができたんですが、遠藤がタイミングよく、そのスペースを使ったんです。

 ここにスペースができていることが分かっていて、それをタイミングよく、早くもなく遅くもなく、いいタイミングで入って行ったことによって、駒野からいいパスがきました。そして、シュートとしては難しいシュートではなかったです。インサイドで流しこむようなシュートでしたが、逆サイドにシュートを流すような形になりました。

 遠藤のスペースを見つける目。そして、ポイントはタイミングよく(スペースに)入っていったことだと思います。

 まずは本田がしっかりと彼のキープ力を生かして前線で起点をつくった。そして、駒野が1対1の仕掛けに勝って、ボックスの深いところまで入った。そして、前田、岡崎が作ったスペースを遠藤がうまく使って、入っていってシュートを決めた。そういう意味では、理想的なサイド攻撃から生まれたゴールということが言えると思います。
【ゴールのポイント!!】
1.本田圭佑のキープ力
2.駒野友一のドリブル突破
3.遠藤保仁のスペースに入るタイミング

動画はこちら>>

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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