【Jリーグ】首位堅持。
ベガルタ仙台の快進撃は昨シーズンとどこが違うのか?
王者・柏に勝利して、首位をキープした仙台
仙台の快進撃が止まらない。
4月14日に行なわれたJ1第6節で、昨年王者の柏を3対2で破り、首位を堅持。しかも、先制しながら追いつかれ、再び勝ち越すも追いつかれ、ついには三度勝ち越すという激闘の末の勝利は、単なる勢いだけでない、底力ゆえの快進撃であることを感じさせた。
「(開幕からの)5試合でなるべく多く勝って、シーズンの主導権を握りたい」
そう話していた手倉森誠・仙台監督にとっては、前節までの5試合を終えて4勝1分けは、希望通りの開幕ダッシュ。余裕を持って、柏との一戦に臨めたことは大きかった。手倉森監督も「厳しい試合になると覚悟していた」とは言うが、試合後、勝敗を分けた要因として挙げたのは、「両チームが置かれた状況の違いから来る、心理面の差」だった。
「柏は連覇のために、今日は是が非でも勝ちたい試合。だが、うちは最悪負けなければよかった」(手倉森監督)
実際、試合の随所で、そんな両者の違いは感じられた。勝ち点13で首位の仙台に対し、柏は勝ち点7の10位。しかも、柏にとってはホームゲーム。常に後手を踏む試合展開に、ディフェンディングチャンピオンが悲壮感さえ漂わせて攻撃に出るもの当然だった。
88分に退場となったレアンドロ・ドミンゲスの2枚のイエローカードは、いずれも焦燥感に端を発していたことは明らかだ。手倉森監督は、余裕しゃくしゃくの様子で語る。
「どうしても勝ちたい柏が、(前がかりになって)バランスを崩したところを突けた。(二度追いつかれても)うちには、まず負けなければいいというのがあったから、決勝点が転がり込んだのかな」
確かに、この日降り続いた雨の影響で、ところどころに水が浮くピッチコンディションが、いくらか仙台有利に働いた面はある。
奪ったボールをシンプルに2トップへ送る仙台とは対照的に、柏はレアンドロを中心とした細かいパスワークが武器。結果的に柏は、何度も水たまりに"パスカット"されるという憂き目に遭った。
とはいえ、チーム全体が常に足を止めず、攻守両面で数的優位を確保することでは、仙台が明らかに上回っていた。つまりは、仙台が勝つべくして勝った試合ということだ。
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