2012.03.09

【Jリーグ】
データで見る「チームを救ったディフェンダー」は意外な顔触れ

  • 木村和司●解説 analysis by Kimura Kazushitext by Sportiva
  • photo by Yamazoe Toshio

体を張った守備を持ち味とする北本久仁衛。神戸の躍進に貢献したひとりだ。 2011年シーズンのデータ(J2からの昇格組は含まず)をもとにして、ここまでストライカー(3月7日配信)、チャンスメーカー(3月8日配信)と攻撃面で奮闘しているJリーガーを取り上げてきたが、第3弾はディフェンス。今回も木村和司氏(横浜F・マリノス前監督)に解説してもらいながら、守備面で高いパフォーマンスを発揮している選手を探っていきたい。

「日本一」と木村氏も絶賛するダイナモ

 守備に関するデータで、一般的なのは失点数。昨季リーグ最少失点(25)の仙台が、Jで最も高い守備力を誇るチームであることは、その数字から明らかだろう。だが、選手個人では誰なのか? それを推し量る公式記録はなく、チャンスメーカーのアシスト数のような、目安となるデータもない。そこで、あらゆるデータの中から、相手の攻撃を封じて、味方の守備に貢献したと思われるプレイデータを4つピックアップ。そこからJで奮闘しているDFを見極めていきたい。

 ひとつ目は、表1の「タックル成功数ランキング」。このデータは、相手が保持しているボールを奪いにいって、ボール奪取に成功した数を示している。敵の攻撃の芽を摘み、一転、反撃の糸口を生み出すプレイだけに、ディフェンダーとしてはかなり評価されていい数字だろう。

  積極的に仕掛けていく側面のあるプレイだけに、最終ラインの選手よりもボランチやサイドバックの選手がランキング入りした。

 1位は、唯一100回を超えた小椋。ついに横浜FMの選手がトップで登場し、木村氏もにんまり。「あいつは、ボールを奪う能力に関しては日本一や!」と絶賛した。だが、"教え子"に対しての評価は、期待するがゆえに辛口だ。

「ボールを奪えればいいが、交わされたあとのプレイが遅い。特に、スライディングタックルにいって交わされると、必ず決定的なシーンに陥っていた。そうした課題を修正して、ボールを奪ったあとのパスや動きの質も上げていってほしい」

 とはいえ、横浜FMが前半戦でトップ争いを演じられたのは、ダイナモとして絶大な働きを見せた小椋の存在があったからに他ならない。

 2位、3位は、柏の2ボランチ、大谷と栗澤。成功率も80%を超え、ボール奪取率の高さには目を見張るものがある。攻撃の立役者がレアンドロ・ドミンゲスだとすれば、守備でリーグ制覇の原動力となったのは、間違いなく彼らふたりだろう。

「柏のボランチふたりは本当に効いていたけれども、この数字を見て『やっぱりな』と改めて納得した。彼らはたとえ交わされても素早く戻って対応。味方がボールを奪われたあとの反応もよくて、敵の攻撃の芽をことごとく摘んでいた」(木村氏)

 他で注目されるのは、名古屋の両サイドバックが、4位に阿部、7位に田中とランクインしている点。中央で高さと強さのある闘莉王、増川隆洋が控えているうえに、この両サイドの手堅さは特筆モノ。失点36と、仙台に続く守備力を誇った秘密は、こんなところに隠されていたのかもしれない。さらに今季は、5位のダニエルが加入。対戦相手にとって、名古屋の守備網を破るのはますます難しくなりそうだ。