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【サッカー日本代表】久保建英の「無理にでも仕掛ける責任」がブラジル撃破の引き金となった (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【2点のビハインドは許容できない】

 ブラジル戦に間に合わないかも、と覚悟した瞬間もあったという。ただ、チームから途中離脱するつもりはなく、スタッフの献身的なサポートと本人のがんばりで試合出場までこぎ着けた。

「やっと久しぶりに、試合中に痛みなくプレーできたので、そういった意味では一歩前進かなと思います。今日は痛くてもやるつもりだったんですけど、思ったよりチームの助けになれてうれしかったかなと思います」

 今回招集された日本代表のメンバーで、久保は国際Aマッチ出場が5番目に多い。ブラジル戦が46試合目だった。豊富な国際経験を持つ24歳は、ブラジル撃破という歴史的勝利も冷静に受け止める。

「親善試合なので、喜ぶところは喜んで。でも、何も変わってはいないと思います。これで安心しないように。ひとまず勝てたので、ここからより内容を突き詰めていきたいなと、個人的には思っています」

 ブラジル相手に2点差を引っ繰り返したのは、間違いなく評価できる。ただ、ワールドカップでの上位進出を考えると、2点のビハインドは許容できない。追いかけるとしても1点差までだ。

 ワールドカップまで8カ月という時間を踏まえて、久保は「世界を見渡しても、まだ完成されたチームってほとんどないと思います」と言う。「日々進化していけるのはありがたいですけど、特に守備のところ」と、ディフェンスを課題に挙げた。

 それぞれが守備のタスクを担いながら、ファイナルサードで勝負に挑む。仕掛ける責任を負う。そうした攻撃的な姿勢を個々が磨いていくことは、結果的に守備の負担を軽減することにつながる。

 久保が積極的に仕掛けていた時間帯は、ブラジルにほぼチャンスを与えていない。

著者プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

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