検索

U-20ワールドカップで地元チリも完封し2連勝 前評判が低かったU-20日本代表快進撃の理由 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 しかしながら、2年前のこの大会を振り返れば、日本は初戦を勝利しながら、残る2戦で連敗し、グループリーグ敗退。この1勝が何かを保証してくれるものでないことは、過去の歴史が証明している。

 しかも、第2戦の相手は開催国のチリ。5万人近いサポーターがスタンドを埋め、地元チームを後押しすることは容易に想像がついた。そこでアウェーの雰囲気に飲まれてしまうようなら、単に勝ち点を落とすにとどまらず、大会を通じての勢いという意味でも、初戦の勝利をフイにしてしまいかねなかった。

 実際、チリ戦が始まると、「隣の(ポジションの)選手の声も全然聞こえなかった」とは、右サイドバックの梅木怜(FC今治)の弁。耳をつんざくような大歓声のなか、「(ポジションが隣り合う)自分と(市原)吏音も、近づいて話さないとコミュニケーションがとれなかった」と振り返る。

 だが、チリにボール支配率で上回られても、日本は慌てなかった。

 大関は、「チリがやっていたことを、本来は自分たちがやりたかった。特に前半は、もう少し前でプレーしたかった」と言いながらも、こう語る。

「相手にボールを持たれていたし、(試合の)入りのところで少し(相手の)圧力を感じてしまったので、不本意ではあったが、少し守備から入ろうかなというところがあった」

 守備への高い意識は、ボランチやDFラインの選手ばかりではない。

「(相手に)ボールを運ばれると、僕ら(DFライン)がちょっと引く部分があったので、その間延びするところを前の人たちが埋めてくれたのはすごくありがたかった。DF陣だけで守れればいいが、そういう世界ではない。チームみんなで守れたのはよかった」

 DFラインを支える喜多がそう話したように、日本は常にコンパクトな守備陣形を保ち、ほぼ完璧にチリの攻撃を封じ込めた。

 だからといって、日本は55分に市原のPKで先制したあとの時間も含め、決してベタ引きで専守防衛に徹していたわけではない。バランスのとれた守備を見せながらも、マイボールの場面ではしっかりとチーム全体で押し上げ、人数をかけて敵陣に攻め入った。

 A代表を率いる森保一監督の口癖ではないが、まさに「いい守備からいい攻撃へ」の好循環が作れていたのである。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る