サッカー日本代表の「キャプテンの役回り」とは? 久保建英、長友佑都の指名は適切なのか (3ページ目)
キャプテンは自分が主役になるよりも、チーム全体をフォローし、チームのために身を粉にするメンタリティを持っている。いわゆるアタッカーの「チームを勝たせる」という積極的なものとは違う。逆に言えば、だからこそ、彼らはそのポジションで適応するのだ。
クラブチームでも、キャプテンの定理は変わらない。
一時代を作ったリバプールの主将はMFスティーブン・ジェラードだったし、バルサが覇権を握っていた時代のキャプテンはCBカルレス・プジョル、MFシャビ・エルナンデスだった。レアル・マドリードでも同じくCBセルヒオ・ラモスが長く主将を務めた。現在の欧州王者であるパリ・サンジェルマンはCBマルキーニョスだ。
もちろん、かつてのレアル・マドリードのラウル・ゴンサレス、現在のインテルのラウタロ・マルティネスのようなFWのキャプテンもいる。例外はある。ただ、チームでは彼ら以外のFWのほうが多く点を取っているケースが多く、それが何を意味するのか。
久保も「いつかは」と言っていたように、アルゼンチン代表でメッシがキャリアを積み重ねてハビエル・マスチェラーノからキャプテンを引き継いだようなコースはあり得る。いるだけで敵味方に睨みをきかせる。そこまでの存在になったら、ポジションは関係ないだろう。
しかし、少なくとも次のワールドカップでは「決着をつけるゴール」に全集中するべきだ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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