サッカー日本代表に佐野海舟が帰ってきた 佐野航大とカズ&ヤス以来32年ぶりの兄弟スタメンあるか (2ページ目)
【佐野海舟が日本人の評価を底上げした】
昨年夏、海舟はドイツ・マインツに少々遅れて加入した。直前に事件があったからで、サポーターたちからはクラブに対して「真実はどうなのか。クラブのスタンスは?」という趣旨の意見書が出されたこともあった。
海外のほうがオープンでざっくりとしたイメージもあるが、人の気持ちはそうとも限らず、「いい選手ならすべてウェルカム」というわけではない。特にドイツの報道陣のなかには、本人が事件について何も発していないことに疑問を呈する者も少なくなかった。
ただ、クラブは海舟の立場に立った。多くを語らず、海舟を最初から起用し続け、結局リーグ戦全34試合すべてに先発し、32試合にフル出場した。
シーズン序盤は出遅れを感じさせるシーンもあったが、数試合もピッチに立つとチームに欠かせない存在となった。2023-24シーズンは13位だったマインツが6位に躍進した陰に、海舟の存在があったと言っても過言ではない。海舟の好プレーが日本人選手全体の評価を上げたため、このオフは各クラブのスカウト陣がこぞって日本を訪れているという話だ。
派手さはないものの黒子に徹することができ、こぼれ球をすばやく回収し、フィジカルも強い。シーズン後半になると、時間帯によっては攻撃陣のような動きも板についてきて、バイエルン戦では得点まであと少しというチャンスも創出した。
「僕が前に行くということは、後ろが空いてしまうから、確実に何か形にしてしないといけない」
試合後、海舟は覚悟の攻撃参加であることを説明してくれた。
この1年間、海舟が繰り返し語ってきたのは「やるべきことをやり続けるだけです」ということ。
試合出場が続いて高評価がピークに達した今年4月、海舟に「日本代表が気になるのでは?」と尋ねた。すると、海舟は「そうですね」と言い、「時差があるからあれ(全部見られるわけではない)ですけど、結果は見ています」と話した。
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