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サッカー日本代表、ワールドカップ本大会の見通しを検証 ベスト8に進出できるか? (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【日本代表は史上最強】

 まず、現在のチームが史上最強ということに疑いを持つ人は少ないと思う。メンバーの大半が欧州リーグでプレーしていて、最高峰であるプレミアリーグ所属が5人いる(三笘薫、鎌田大地、遠藤航、菅原由勢、冨安健洋)。レギュラーポジションを確保しているのは三笘だけだが、全体的に選手のレベルは上がっている。

 1998年フランスW杯で初優勝したフランス代表には当時最高峰だったセリエA所属の選手が7人いた。1980年代はミシェル・プラティニだけ。こうした経験値の違いは大きい。また、現在の日本代表選手の多くは前回の2022年カタールW杯を経験している。

 アルベルト・ザッケローニ監督が率いた2014年ブラジルW杯のチームは当時、史上最強と言われていた。本田圭佑、香川真司を擁して確かに攻撃力は歴代最高だった。一方で強豪国相手に得点できても、それ以上に失点もしていた。ウルグアイに2-4、イタリアに3-4、ブラジルとは二度対戦して0-3、0-4。本大会ではコロンビアに1-4だった。

 ちなみに大敗してグループリーグ敗退が決まったコロンビア戦は、大久保嘉人が3戦目にしてフィットしていて攻撃面ではザッケローニ時代でも最高レベルだったのだが、4失点ではどうにもならない。いいチームではあったが偏りもあった。

 現在の日本代表は攻守いずれも大きな弱点がない。予選ではウイングバックにアタッカーを起用する大胆な攻撃偏重の編成だったが、守備的に戦う相手に対して効果的だった。W杯でここまで攻撃的な戦い方はしないだろうし、相手によってはできない。だが、守備的な戦い方はすでにカタールW杯で結果を出している。

 攻守の振り幅の大きさはこれまでの日本代表にはなかった。2010年南アフリカW杯では直前に守備型にシフトしてベスト16へ進出しているが、そこから攻撃型に変えられたわけではない。今回のチームはそれも可能で、過去のチームにない対応力を持っている。

 前回のカタールW杯で日本が唯一負けたのがコスタリカ戦だった。相手が引いたので、攻撃的なプレーをしなければならない試合だけ負けている。今回の予選で使った超攻撃型の3バックはコスタリカ戦で露呈した課題を克服するもので、日本がW杯で勝ち抜くための対応力は上がっている。

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