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イングランドで成長を実感する長谷川唯「マンチェスター・シティではサッカーをやっていて楽しい!」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【イングランドでは日本人対決が多い】

 シティには今シーズンからなでしこジャパンの藤野あおば、清水梨紗(リハビリ中)、そしてGKの山下杏也加が加わったが、他にも日本人選手が続々とイングランド女子スーパーリーグに参戦し、日本人対決も増えた。取材した試合の対戦相手レスター・シティでは、元なでしこジャパンの宝田沙織、籾木結花がプレーしている。

 長谷川と籾木は、日テレ・メニーナ時代から苦楽を共にしてきた戦友でもある。試合前後、長谷川の表情に昔の幼さが滲んだのは籾木との対戦だったからだろう。ピッチ上ではアンカーの長谷川と、前線に入っていた籾木はガッツリとマッチアップすることはなかったが、互いの位置を常に意識する配置にはあった。

「モミとはずっと一緒にやってきたので、自分と対峙してない時のモミの動きを見たりとかすると『モミっぽいな~』ってプレーがあって楽しいです。でも、どちらかと言えば一緒にサッカーをやりたいですよ(笑)」(長谷川)

 長谷川がニヤリと籾木を見れば、すかさず籾木からも返答が。

「チームメイトが後ろから『行け~!』って言うんですけど、『でも自分が前に行ったら、ここの唯が空くのに大丈夫なのかな?』って思いつつ、『じゃ行くよ?』って行ったらやられたので『そりゃやられるよな』って(笑)。唯の動きを見て『この感じ、この感じ』って思いながらプレーしてました」(籾木)

 日本人対決にそれほど心は動かされないとする長谷川でも、相手が籾木となれば、その心境は異なるようだ。試合は大量リードを得たこともあって、通常よりも攻撃に絡む長谷川の姿もあり、彼女らしさを満喫できた一戦だった。

長谷川唯と籾木結花。対戦後の2ショット photo by Hayakusa Noriko長谷川唯と籾木結花。対戦後の2ショット photo by Hayakusa Norikoこの記事に関連する写真を見る この日のスタジアムには日本人の姿が多く見られた。日本人選手が集まるということで地元・マンチェスター大学の学生に声がかけられていたという。マンチェスターの街中は学生も多く活気があり、住みやすそうだ。

「特に観光地があるわけじゃないんですけど、ブランチの美味しいところがたくさんあります! オフの時は10時から12時位の間にどこかに歩いていって、並んででもブランチを食べたりしてます。日本ではあまりブランチの文化はないですけど、こっちでは気軽にそういうのを楽しんでます」(長谷川)

 ロンドン市内には負けるが、マンチェスター界隈にもマンチェスター・ユナイテッドをはじめ、レスター、リバプールなど熱量のあるフットボールチームが集まっている。そんな環境に身を置く長谷川は、どんなことを感じ取っているのだろうか。

「まずサッカーをやっていて楽しいです! 日本もこうなってほしい気持ちはあるけど、難しいですよね。これはもう文化だから。代表や地元のチームの結果が出れば、日本でもこういうふうに盛り上がったり、フットボールが日常の環境になるかと言われると、そうではないじゃないですか。ここは男子のフットボール文化が根底にあるからだと思うし。

 日本の女子サッカーのよさはそういうのとは別にあると思うので、海外とは違う魅力、日本人ならではの魅力を伝えていければ、もっと見てもらえるんじゃないかなって、ここでプレーするから感じることもあります」(長谷川)

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