サッカー日本代表の1トップ事情を福田正博が解説 小川航基の活躍でレギュラー争いに変化あり? (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【古橋亨梧が機能するところをもっと見たい】

 この小川以外にも、11月シリーズではFWが出場機会を手にした。インドネシア戦では大橋祐紀(ブラックバーン)が日本代表デビューを飾り、中国戦では古橋亨梧(セルティック)が約1年ぶりに日本代表のピッチに立った。

 大橋も上田や小川と同じようにオールラウンドな能力を持っているFWだ。上田ほどではないがポストプレーで体を張れるし、小川ほど強くはないものの空中戦も得意にしている。特長をあげれば、ポジショニングのよさで勝負する点だろう。日本代表として公式戦のピッチに立ったことで、次からは戦力として計算できる存在へと成長していってもらいたい。

 古橋の特長はほかの3選手とは異なり、スピードとポジショニングを活かしたラインブレイクにある。DFとDFの間にポジションを取り、DFラインの裏を取ってゴールに迫っていく。これまで日本代表では持ち味を出せずに地位を確立できなかったが、中国戦ではオフサイドになったものの、鎌田大地(クリスタル・パレス)からのパスで、古橋らしい特長を見せてくれたシーンがあった。先々を見据えた時には、日本代表に戦い方の幅を持たせるためにも、古橋には日本代表で機能するところをもっと見せてもらいたいと思う。

 いまの日本代表は、セルティックでスコットランドリーグ得点王にもなった古橋を招集しなくても戦えるほどレベルアップしている。ここで取り上げた4選手のほかにも、町野修斗(キール)や細谷真大(柏レイソル)などもいる。

 だが、まだ誰ひとりとしてUEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進むような強豪クラブではプレーできていない。ほかのポジションではMF遠藤航がリバプール、DF冨安健洋がアーセナルなどのように、着実に世界トップレベルに到達している。

 彼らがW杯最終予選のなかで刺激しあい、所属クラブの試合で成長し、さらなるステップアップを遂げてくれるよう期待している。それが実現できれば、2026年W杯で日本代表はベスト8以上の成績に近づけるはずだ。

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

【画像】サッカー日本代表 識者たちが考察したアジア最終予選のベスト布陣

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