サッカー日本代表の攻撃的3バックはワールドカップ本大会まで続くか? 中国戦では大成功 (2ページ目)
【中国の守備重視の戦いも幸いした】
もっとも、守備的にならなかった要因は中国の戦い方にもあった。中国代表を率いるブランコ・イバンコビッチ監督が6月の日本対シリアをどこまで分析したのかは定かではないが、日本が苦戦する傾向にあるハイプレスを仕掛けず、3バックシステムとは布陣的かみ合わせがよくない4-4-2を採用したうえ、シリア同様、守備重視の戦いを選択したことが日本にとって幸いした。
これにより、相手の2トップに対して3枚のDFを配置する日本がビルドアップに苦労せずに、難なく前進可能に。さらに中国が予想以上に低い位置でブロックを作ったため、日本はほぼ敵陣内でプレーすることができた。そんななか、前半に顕著だったのが3-2-5でボールを保持する日本に対し、DF4枚の中国が終始劣勢に立たされたことだった。
左サイドを三笘が、右サイドは堂安と久保が入れ替わりながら幅をとる日本のポゼッションに対し、中国はDFライン4人が横へのスライドを繰り返して対応しようとしたが、どうしてもオープンサイド(逆サイド)のWBをフリーにさせてしまう。とくに日本は堂安と久保が入れ替わる右サイドを中心にパス回しを展開したため、左の三笘がフリーになるシーンが多く、その結果、前半の中国は三笘に苦しめられる格好となった。
それを象徴するのが、前半アディショナルタイムに堂安の右サイドからのピンポイントクロスに三笘が頭で合わせたゴールシーンだった。ちなみに、その直前の40分にも堂安はほぼ同じ位置からクロスを供給したが、その時は大外でフリーになって手を上げながら走り込んでいた三笘ではなく、それより手前の上田綺世を狙ったため、DFにはじかれてしまっていた。
いずれにしても、前半開始から三笘が左サイドでフリーになるシーンが多かったため、三笘が得意とする仕掛けのシーンが増加。前半の日本が記録したクロスは15本あったが、三笘はその約半数の7本のクロスを供給している。
2 / 4