なでしこジャパンを救った谷川萌々子のキックはチームでひとり「音が違う」 ナイジェリア戦にも自信を見せる頼もしさ (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【ナイジェリア戦は「隙を突いていきたい」】

 谷川の決勝ゴールで大きな勝ち点3を得たなでしこジャパン。再び初戦の地、ナントに戻り、ナイジェリアと戦う。谷川はこの対戦に自信をのぞかせた。自チームにナイジェリアの選手がおり、その特性を把握していると言う。「スピードがあってフィジカルは強い反面、ちょっと隙があるので、そこを突いていきたいです」と語る。

 ブラジル戦で見せたゴールによって、警戒されるであろう飛距離のあるシュートに対しても、「それを見せることで相手が警戒してくれば、中でのワンツー(のコンビネーション)が生きる」と、むしろ食いつかせてみる楽しさもある、と微笑んだ。

 ここまで4試合すべてが1点差ゲームだったグループC。現在スペインが2連勝して首位を行くが、2位につける日本も最終戦を勝利し、スペイン対ブラジルの結果次第ではまだ首位通過の可能性も残されている。いまだ勝ち点のないナイジェリアとしても、3位通過を目指しすべてをぶつけてくるはずだ。

 日本が最も警戒しなければならないのが、バルセロナ所属時にUEFA女子チャンピオンズリーグ優勝も経験したFWのアシサト・オショアラ(ベイFC/アメリカ)。ナイジェリアの看板スターだ。彼女にボールを入れさせない戦い方が必要。疲労が溜まる第3戦で、どこまでプレスをかけ続けられるかがカギとなりそうだ。

 懸念として暑さがある。ここへ来てナントは急激に気温が上がり、練習時の気温は39℃にまで上昇した。疲労が重なる上にここまでの戦いにない暑さにも苦しめられそうだ。

 スペイン戦で清水梨紗(マンチェスター・シティ)が負傷離脱、この時唯一のゴールとなったFKを決めた藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)も古傷の痛みが再発し松葉杖でナント入りするなど、主要メンバーにアクシデントも起きている。明るい兆しとしては、別メニューだった北川ひかる(INAC神戸レオネッサ)が練習に復帰していることか。

 中2日で整えたそれぞれのコンディションが、ナイジェリアを抑え込めるレベルまで回復しているかは、ぶつかってみなければわからない。

 なでしこジャパンの総力戦は続く。

著者プロフィール

  • 早草紀子

    早草紀子 (はやくさ・のりこ)

    兵庫・神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサッカーを撮りはじめ、1994年からフリーランスとしてサッカー専門誌などに寄稿。1996年からは日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンも担当。女子サッカー報道の先駆者として、黎明期のシーンを手弁当で支えた。2005年より大宮アルディージャのオフィシャルカメラマン。2021年から、WEリーグのオフィシャルサイトで選手インタビューの連載も担当。

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