パリ五輪サッカーで福田正博が期待する日本代表選手は?「チームの浮沈のカギを握っている」「ボールが渡れば何かが起こる」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【カギを握る、細谷真大、平河悠の活躍】

 前線は楽しみなメンツが揃っている。1トップは細谷真大(柏)と藤尾翔太(FC町田ゼルビア)が選ばれた。藤尾は体を張ったプレーで味方を活かせるのに加えて右サイドもでき、展開によっては2トップという戦術的な幅をもたらしてくれる。

 ただ、このチームの浮沈のカギは細谷が握っていると言っていいだろう。アジア五輪最終予選では序盤戦はゴールを決めきれずに空回りしている印象だったが、細谷がゴールを決め出してから一気に優勝まで駆け上がった。ただ、パリ五輪ではそんな悠長な時間はない。グループステージ1試合目から、細谷のゴールでチームに勝利をもたらしてもらいたい。

 両サイドのアタッカーには、斉藤光毅(ロンメル)、平河悠(町田)、佐藤恵充(ブレーメン)が選出され、MF登録の三戸はスピードを生かしたドリブル突破が持ち味なためサイドアタッカーでの起用もある。斉藤はアジア五輪最終予選未招集だったが、その後のアメリカ遠征に招集され、圧巻のプレーで存在感を示して代表入りを決めた。足元の技術は横浜FC時代から秀でたものがあっただけに、パリ五輪でも違いを発揮してチャンスをつくりだしてもらいたい。

 ただ、現状でもっとも期待値が高い選手は、やはり平河悠だろう。Jリーグでの今シーズンのプレーを見たら、誰もがそう思うはずだ。ボールが平河に渡れば何かが起こるのではという期待感が生まれるのだ。そういう選手はなかなかいないだけに、あのパフォーマンスをパリ五輪の舞台でも発揮して、世界を驚かせてもらいたいと思う。

 U-23日本代表は、7月17日(現地日時、以下同)にフランスとテストマッチを行なったあと、いよいよパリ五輪のグループステージの戦いに突入する。7月24日にパラグアイ、7月27日にマリ、7月30日にイスラエルとの試合に臨む。

 9月から始まるW杯アジア最終予選や2026年W杯本大会に向けて、日本代表の力を底上げできるかは、このパリ五輪世代の成長にかかっていると言ってもいい。それだけにパリ五輪でのグループステージ3試合とその先の戦いを熱く見守りたい。

 前回の東京五輪では4位となってサッカーへの注目度が高まったが、パリ五輪でもU-23日本代表の躍進によって、日本中のサッカー熱が高まることを期待している。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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