サッカー五輪代表のメンバーを探る――GK2枠は本当に「確定」しているのか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 メンバー入りの最有力候補であるこのふたりに続く選手を挙げるとすれば、Jリーグでプレーする3人のGK、すなわち、佐々木雅士(柏レイソル)、野澤大志ブランドン(FC東京)、藤田和輝(ジェフユナイテッド千葉)だろう。

 佐々木はこのチームの初陣となった国際大会、2022年3月のドバイカップに、小久保、鈴木とともにメンバー入り。全3試合を等分する形で、1試合に出場しているGKだ。

 J1でも2022年シーズンには20試合に出場するなど、柏の正GKに定着し、この世代のポジション争いでもトップグループを形成するひとりだった。

 実際、一昨年のヨーロッパ遠征では、イタリア、スペインといった強豪国相手の親善試合で、小久保や鈴木を差し置いて先発出場しているほどだ。

 しかし、翌2023年シーズンに入ると、柏での出場機会を大きく減らし、このチームでの序列も下げてしまう。

 そんな佐々木と入れ替わるように台頭してきたのが、野澤である。

 2019年U‐17ワールドカップでは、鈴木、佐々木とともに、登録メンバー入りしていた有望株も、所属するFC東京ではトップチームの壁が厚く、なかなか出場機会を得られずにいた。

 だが、2023年シーズンでついにJ1デビューを果たすと、シーズン終盤は正GKに定着。J1での出場経験を生かし、このチームでの序列も次第に上げていった。先のU‐23アジアカップでも、2番手GKという位置づけで小久保を支えていたのは、野澤である。

 一方、別路線から台頭してきたのは、藤田だ。

 昨季J2での活躍(当時の所属は栃木SC)が認められ、2023年9月~10月のアジア大会に出場した藤田は、正GKとして準優勝に大きく貢献。ピンチを救うシュートストップだけでなく、足元の技術を生かしたビルドアップにも冴えを見せた。

 アジア大会の登録メンバーには大学生が多く、"Bチーム"とも称される編成ではあったが、そこでのアピールに成功した藤田は、およそ1カ月後に行なわれたアルゼンチンとの親善試合でもメンバー入り。"Aチーム"に抜擢されたばかりか、野澤、佐々木をベンチに座らせ、先発メンバーの座まで手にしている。

 しかしながら、彼ら3人が繰り広げてきた競争は、現実的に考えて、3番手争いというのが実際のところだろう。パリ五輪登録メンバーのGK枠は2。これまでの起用法や実績を考えれば、彼ら3人のうちの誰かが、小久保、鈴木を押しのけてメンバー入りするとは考えにくい。

 GKに関してはOAの活用を議論する必要もなく、所属クラブとの交渉さえ問題なければ、2枠の行方は、小久保と鈴木でまず間違いないだろう。

 海外組のGKが登録メンバー入りするとなれば、日本の五輪チーム史上初めてのことになる。

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