久保建英の訴えをどう捉える? 時代に合った日本代表強化の在り方を考える時期に来た【2023年人気記事】 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 カナダ戦当日の試合会場では、日本代表のユニフォームではなく、各選手の所属クラブのユニフォームを着たファンをよく見かけた。なかでも、その数が圧倒的に多かったのは、ブライトンの三笘薫である。

 イングランド・プレミアリーグで際立つ活躍を見せる三笘が、現在の日本代表における顔役であるのは間違いない。彼がいるといないとでは、集客数に大きな影響を与える可能性もあるのだろうし、興行という意味で言えば、欠かせない存在であることは理解できる。

 久保もまた、三笘と並ぶ顔役のひとりだろう。カナダ戦ではベンチだったにもかかわらず、試合前のメンバー発表で誰より大きな声援を受けていたのは彼だった。

 しかし、興行優先のために選手を酷使し、パフォーマンスレベルが下がった結果、所属クラブで出番を失うようなことにでもなれば、元も子もない。

 今回、コンディション不良を理由に鎌田大地、堂安律がそもそも選外となり、三笘、前田大然がメンバー発表後に辞退となった。

 だが、鎌田、堂安に関していえば、メンバー発表後も所属クラブで試合に出ていることを考えれば、招集できないほど体調に問題を抱えていたとは考えにくい。にもかかわらず、コンディション不良を選外の理由にしなければいけないあたりに不健全さを感じてしまう。

 前述のとおり、前回の活動から今回の活動までの間に、ヨーロッパではチャンピオンズリーグをはじめとするUEFAの大会が行なわれていた。それもあってか、カナダ戦では久保、守田英正の出場はなく、冨安健洋は前半のみの出場にとどめるなど、当該選手への配慮がうかがえた。

 しかしだとすれば、もう一歩進んで、招集そのものを見送る判断がもっとあっていい。と同時に、その際にはコンディション不良などを理由にせず、「選手の負担を考えて、今回は招集を見送った」でいいのではないだろうか。

 4-1で快勝したカナダ戦では、ワールドカップ以来の招集となった南野拓実が先発。2列目の新たな組み合わせが試されるなかで、彼らしい動き出しのよさを披露した。

 フィールドプレーヤーとしては唯一国内組で先発出場した毎熊晟矢も、これが代表2戦目とは思えないほどスムーズな動きができていた。

 この試合を見る限り、チーム全体として守備にはやや粗さがあったものの、ボールを奪ったあとの攻撃は、速さといい、幅を使った厚みといい、なかなか見応えがあった。

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