谷口彰悟が驚いたカタール文化 1時間の遅刻にもイライラせず、身の回りの清掃は自分でやらない (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

 また、カタールでは民族衣装である『トーブ』を着て生活している人を多く見かけるが、このトーブが常に真っ白で、綺麗にクリーニングされたものを着用している。シワひとつない、綺麗な白いシャツで歩いている姿を見ると、印象としても優雅で、やはり余裕があるように見える。

 そうした身だしなみへの気配りは、時間に対するゆとりとともに、カタールの風土を表しているように感じる。

 カルチャーショックを受けるとともに、学びにもなったのが、裕福な国でもあるカタールでは、現地の人たちが優遇されている生活を送っていることだ。

 カタールの人のなかには働いていない人も多く、身のまわりのことは基本的に外国人労働者が担っている。アル・ラーヤンSCも、クラブハウスの清掃やスタジアムの清掃などは外国人労働者の人たちが請け負ってくれている。

 世界大会が開催されるスタジアムで、周りのゴミを拾う日本のファン・サポーターが世界的に称賛されるように、身のまわりのことを自分たちで行なう日本の文化や習慣、さらに美徳はすばらしいと思う。

 一方、海外では、それを片づけることを仕事にしている人、それによって生活している人を目の当たりにした。

 僕は日本人として、身のまわりのことを自分でやる習慣が身についているし、実際、そうしたことは自分でやりたいとは思うが、カタールで生活する全員がそうなってしまうと、清掃を仕事にしている人などの職を奪うことにつながってしまう意識も抱くようになった。

 これはどちらがいいとか、悪いとかを言いたいのではなく、そうしたことで成り立っている物事があることを知った。

 そして、カタールで生活するようになって、自分自身の日常が大きく変化したことと言えば、食事だろう。

 今では、ほぼ毎日、自炊している。おかげで料理スキルは、日本にいる時よりもだいぶ上がったように思う。自炊しているのは、自分が食べたいと思うものを食べることができるし、どういった食材を使っているか、どういった油や調味料を使っているかを自分自身が把握、管理できるところにある。

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