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日本代表の問題が浮き彫りになったウルグアイ戦 鎌田大地とバルベルデ、そして指揮官の指導力の「差」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

【SBが高い位置を取れなかった理由】

 ハイプレスがなにより先に向かう場所は相手(日本)の両SBだ。SBが活躍したほうが勝つとは欧州で常識的な考え方だが、ハイプレスはそれに対抗するための手段になる。実際、ウルグアイはハイプレスを利かせたサッカーをした。日本のSB(伊藤洋輝/左、菅原由勢/右)にプレッシャーを掛けた。SBをどうやって活かすかという森保監督の目論見はその結果、はかなく潰えることになった。

 彼らは確かに、中盤と同じ高さまで上がり、真ん中にポジションをとる今日的なSB像にトライしていた。従来の旧態依然とした森保式SBとは異なる動きを見せていた。しかし、トライしたに過ぎなかった。ウルグアイのハイプレスの標的となり、それどころではなくなった。

 その結果、「ボールを握った戦い」もできなかった。采配の対決で森保監督はブロリ暫定監督に劣った。それが44対56の関係に陥ったもうひとつの原因だ。選手の力量不足を監督采配で補うことができなかったといっても言いすぎではない。

 伊藤、菅原両SBには可能性を感じる。縦、外オンリーだった長友佑都、酒井宏樹にはない、中盤的な動きができる選手だと見る。ただ、それはもちろん監督から的確な指示があれば、になる。森保監督によれば、その指導は名波浩コーチが中心になってやっていたということだが、この日の出来を見る限り、指導力不足と言われても仕方がない。ブロリ暫定監督が胸を張るほど、筆者にはウルグアイのプレスが厳しいものには見えなかった。

 うまくいかなかった理由は明白だ。それは両センターバック(CB)、瀬古歩夢と板倉滉の間隔が狭かったことに起因する。その間隔を広く保ち、その間に守備的MFのひとりが降りてくる守備のスタイルが確立されていないので、両SBは高い位置を取れない。守備的MFの高さまで上がれなければ、真ん中にポジションをとることはできないのである。

 SBが高い位置を取れなかった原因。マイボール時に真ん中付近でプレーできなかった原因は、ウルグアイのプレスが厳しかったからだけではない。外的要因ではなく内的要因にある。指導力の問題だ。両SBのプレーがどう改善されるか。次戦コロンビア戦の注目ポイントのひとつだと考える。

 選手の質と監督の質。ともに問題点が目立つウルグアイ戦だった。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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