日本代表監督に求められる資質は激変している。森保一監督続投記者会見で感じたこれだけの疑問 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Kyodo News

【成績ばかりにこだわっていいのか】

 そうした現実とどう向き合っていくか。代表監督に求められる役割、資質はこれまでとは大きく変わってくる。代表チームの強化計画のみならず、その定義にまで影響は及ぶ。欧州組を国際マッチデーに毎度、招集する必要はあるのか。国内組で十分ではないのか。五輪チームなどアンダーカテゴリーの強化の場に充てたほうがいいのではないか。

 W杯本大会を48チームで行なえば、大会期間を延長しない限り、従来の方式では戦えない。期間をこれまで同様1カ月とし、試合数を最大7にとどめようとすれば、トーナメント戦の試合数を増やす必要がある。しかしそれが真の世界一決定戦に相応しい方式だとは思えない。

 32チームで行なわれた今大会でさえ、もう一度やったら、違った結果に終わっていたと考える人は少なくないはずだ。決勝トーナメント全15試合で延長PKに及んだ試合は5試合。決勝戦もそれに含まれるという現実を踏まえると、サッカーという競技の特殊性が浮かび上がる。延長PK戦に至らない試合でも、ほぼすべてが接戦だった。実力以外の要素、運が結果に及ぼす割合が3割と言われる理由が理解できたはずだ。

 サッカーほど不確定要素の上に成立している競技はないと、あらためて断言したくなるカタールW杯を終えた今、48チームで開催される次回W杯を見据えると、成績ばかりにこだわる姿も空しく見える。「目標はベスト8」「新しい景色を!」というスローガンを3年半も前から掲げることに、100%同意する気持ちは湧いてこない。何というか、サッカーらしくないのである。

 今はサッカーの中身について語る時。その先導役あるいは旗振り役は、代表監督ではない。代表監督を招聘する側だ。田嶋会長、反町技術委員長ということになるが、それぞれの役が判然としないところに日本サッカー界の問題は潜むと考える。

 田嶋会長はおよそ2カ月前に行なわれた、カタールW杯本大会を戦う26人のメンバー発表の席で、「26人の名前を聞かされていないのでドキドキしています」と述べている。組織の長として、それはどうなのかと疑問を抱いたものだが、会長として、どこまで現場の問題に介入するかというスタンスが明確でないことにそれは起因する。

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