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コスタリカ戦、日本代表で唯一の希望だった三笘薫。スペイン戦のカギを握るが、その起用法は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

適切ではなかったウイングバックでの起用

 三笘は得点に結びつかなかったことを悔やんだが、限られた出場時間にもかかわらず、ほとんど独力で2度の決定機を作った。

 後半43分、左サイドでボールを受けると、間合いだけで相手ディフェンダーを翻弄し、縦に切り込んでゴールライン近くから絶好のクロスを折り返した。浅野拓磨へのパスはすばらしい質だったが、これを合わせられず、こぼれ球を鎌田大地がシュートしたが、やはりブロックに遭う。しかし堅牢だったコスタリカの守備陣を崩していた。

 アディショナルタイムにも、ふたりのディフェンスを置き去りにしている。マーキングを完全に無力化。スピードと技術を土台に、間合いを極めたドリブルは強力な武器だ。

「戦術・三笘」

 森保監督がそう言って話題になった。彼個人が局面を制することで、チームが優位に立てる。本軍とは別の遊撃軍のように、独立した機動力を生かし、相手を脅かす。まるで疾風迅雷で敵に討ち入る騎兵のようだ。

 しかし、その騎兵を森保監督はうまく使っているのか。
 
 騎兵は持ち場を守ることには適していない。軽装備で相手の急所を突くため、自由に動くことでこそ致命傷を与えられる。塹壕に馬を入れ、重装備で持ち場を守るのでは、宝の持ち腐れだ。専守防衛で、わずかにカウンターを探る戦いならひとつの手だが......。

 後半36分の失点シーンは象徴的だろう。三笘は左サイドで後ろに下がって守るべきところで、コンタクトがやや軽くなる。入れ替わられて起点を奪われると、味方のヘディングが中へのはっきりしないクリアになったり、コントロールが乱れたり、GKがフィスティングにいくべきところでキャッチングにいったりと、ミスが連鎖した。

「自分も(初めに)球際のところで負けてしまっていたわけで、あれがなかったら、失点はなかったと思っています。対人のところは気持ちのところが大きく、試合の入りからもっとできたかと。今は切り替えるしかないですが」(三笘)

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