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ドイツ戦逆転勝利にもどこか浮かない顔の鎌田大地に見た、日本代表の成長の結晶 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

ぶっつけ本番の戦術変更にも対応

<日本は卑屈になって受け身に回らなくとも、能動的なサッカーで勝てるチーム>

 鎌田には、それだけの計算が立ったはずだ。

 実際、後半途中に投入された三笘薫、南野拓実、堂安律も強豪ドイツの気迫に呑まれていなかった。リードを許し、超攻撃的な陣容で総攻撃にギアを入れるなか、それぞれが局面で小さな勝利を重ねた。その結果、ドイツを消耗させることに成功し、逆転勝利をもたらしている。とりわけ、三笘は左サイドの1対1で優勢を保つことで、全体を有利にしていた。

「勇気を持ってプレーし、(終盤のように)対等に渡り合えば、(ドイツ相手でも)必ずいい試合ができる」

 鎌田はドイツ戦後に語っているが、その意味は深い。ドイツに対する勝利は、まさに日本サッカー発展の象徴と言えるだろう。

 今や数多くの日本人選手がブンデスリーガ、プレミアリーグ、リーグアン、リーガ・エスパニョーラなどのトップリーグでプレーする時代になった。CL、ELで活躍する日本人は珍しくない。彼らはさまざまな修羅場をくぐり抜け、戦いに柔軟に適応し、リクエストされた戦術をすかさず運用できる。代表選手としても同じことだ。

 鎌田が所属するフランクフルトで3-4-2-1の戦術を運用している。ドイツ戦で森保一監督は、最近の代表戦でほとんど使っていない3-4-2-1を後半の頭から使ってきた。ぶっつけ本番だったわけだが、鎌田にとって真新しいことではなかった。他の選手も、多かれ少なかれ戦いの場数を踏んでいたことで、たとえ自分の特徴を活かしきれなくても、チームに貢献する術を知っていた。

 久保建英もいい例だ。

 左サイドに固定されたことによって、コンビネーションも使えず、相手の裏を取る力を出しきれてはいない。しかし、ディフェンスでは献身的に働いた。そこから攻撃につなげようとするシーンも少なからずあった。ファウルをすることも、ファウルを受けることも同時にあり、局地戦で敵と格闘していた。前半から、日本はドイツの足を使っていた。

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