サッカー日本代表を福田正博が最終点検。「森保監督は、世間が考える以上の厳しい戦いを想定している」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

板倉の復帰、鎌田のボランチ起用は収穫

 攻撃のところでも、発熱のために代表合流が遅れた三笘薫(ブライトン)の状態も気になっている。彼がプレミアリーグで初ゴールを決めたウォルバーハンプトン戦も解説していたのだが、プレミアリーグであれだけのプレーができる選手を欠くことになれば、日本代表にとっては痛すぎる。

 私はこれまで、日本代表での三笘の起用法については、ジョーカー的な途中出場がフィットすると考えていた。だが、ブライトンでのプレーぶりを見て考えを改めている。プレミアリーグで相手をきりきり舞いにできる選手は世界を見渡しても数えるほどしかいないなか、その一人である三笘を後半の勝負どころまでベンチに置いておくのは、なんともったいないことか。試合開始からピッチに送り出したほうが日本代表を助ける、と。それだけに三笘がどれくらいのペースで復調できるかは気がかりだ。

 難しいのは、熱が下がったからといって、すぐに元通りのプレーができるわけではない点だ。筋力は休んだ影響などから落ちてしまうので、そこを取り戻す時間が必要になる。果たして三笘の場合は、コンディションを戻すのにどれくらいの時間を要するのか。長引くようだと日本代表は苦しくなってしまう。

 その一方で光明もある。カナダ戦は試合には負けたものの、このタイミングでの親善試合の勝敗はさして意味はない。大敗したというのなら話は別だが、主目的はあくまでもチームに合流した選手たちのコンディションを整えることで、そのなかで本番に向けて気がかりな点などを潰しておく程度のもの。

 その点において日本代表は2つの収穫があったと言える。ひとつは板倉滉(ボルシアMG)が、大怪我を乗り越えて2カ月ぶりにピッチにしっかり戻ってきたことだ。CBとしてスタメン出場し、ケガの影響を感じさせないプレーを見せてくれた。冨安健洋(アーセナル)が足の状態に不安を抱えているなかで、板倉が復帰したのは日本代表にとって本当に大きい。今シーズン序盤戦にクラブで見せた活躍ぶりを、ワールドカップでふたたび見せてくれると期待している。

 もうひとつの収穫は、鎌田大地(フランクフルト)をボランチで起用できたことだ。鎌田はフランクフルトではボランチで存在感を発揮しているが、これまで日本代表ではその準備をする機会がなかった。なぜなら遠藤や守田がいたためだ。これをワールドカップ開幕前のタイミングで試せたのは大きい。日本代表がより攻撃的に出なければいけない状況や、遠藤と守田を欠くような時には、ボランチ・鎌田がチームを救う一手になる可能性はある。

 あとは泣いても笑っても本番のみ。森保監督の下で4年間かけてつくられてきたチームが、日本サッカーがまだ見たことのないベスト8以上の光景を見せてくれると期待して、精一杯応援をしたい。みなさんにも最大限の声援をカタールで戦う日本代表に向けて送ってもらいたいと思う。

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