サッカー日本代表を福田正博が最終点検。「森保監督は、世間が考える以上の厳しい戦いを想定している」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

コンディション回復は間に合うのか

 原口もメンバー入りはするものだと思っていた。グループリーグで対戦するドイツ代表やスペイン代表の強度を考えると、柴崎岳では物足りなさを感じていたことや、原口は中盤なら守備的でも攻撃的でもどこのポジションでもこなせ、いざとなれば3バックのウイングバックや、4バックでのサイドバックなどにも対応した実績もあったからだ。

 ひとりで複数ポジションを担える選手というのは、過去の大会のメンバー構成では重宝されてきたし、今大会は原口がその役割を担うと考えていた。だが、蓋を開けてみたら、原口の名はなし。

 これはカタールW杯のメンバーが26人まで拡大されたことも影響したのだと思う。これまでのように23人の選手しかメンバー登録できない場合は、マルチロールな選手を選ぶ必要があった。しかし、今大会は26選手を登録できるため、GK3人+10あるフィールドプレイヤーの各ポジションに2選手ずつ選んだとして、さらに3人を選べることになる。そのため各ポジションにスペシャリストを選出したほうがいいと決断したのだろう。

 本番の日本代表の戦いについてだが、グループリーグ突破には、故障を抱えている選手が戦列に戻れるかにかかっていると言っていいだろう。日本代表の心臓であるボランチの遠藤航(シュツットガルト)と守田英正(スポルティング)が、出場できるのかは気になるところだ。

 遠藤は11月8日のブンデスリーガ第14節のヘルタ・ベルリン戦で、相手選手と激しく衝突して脳震盪を起こした。私はこの試合の解説を担当していたが、頭の打ち方を見た瞬間に背筋が凍る思いがしたほどだった。そこから遠藤は回復プロトコルを踏み、代表合流の許可をもらっている。スタメンに名を連ねるほど回復してくれることが最大の喜びではあるものの、予断を許さない怖さがあるのが脳震盪だ。

 ラグビーワールドカップなどで脳震盪を起こした選手を見たことがあると思うが、脳震盪の後遺症は危険なもの。遠藤を欠くのは日本代表にとってこれ以上ないほどの痛手だし、遠藤本人は目指してきた舞台が目の前にある以上は「出る」と言うだろう。でも、もし仮に遠藤の状態が万全でないのであれば、彼のこれから先の人生を考え、しっかりとした判断を下してもらいたいと思う。

 守田も左ふくらはぎの状態から11月17日のカナダ戦を回避した。ドイツ代表、コスタリカ代表、スペイン代表との対戦を考えた時に、遠藤に加えて、守田までも欠くことになれば、日本代表にとっては非常に厳しい戦いになると言わざるを得ない。それだけに、回復してくれることを願うばかりだ。

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