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井原正巳が振り返る日本代表の12年間。「日本サッカーの激動の時代に代表に絡めたことは大きな財産」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by REUTERS/AFLO

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 そして迎えた、1998年フランス大会。日本代表はここで初めてのワールドカップ出場を果たすことになる。わずか2大会前には最終予選にすら進めなかった弱小国だったことを考えれば、奇跡的と表現していいほどの急成長と言っていいだろう。

「日本代表にまだまだ力がなかった時代から、ようやく自信を持ってアジアでも勝てるというところまで到達していく。そしてJリーグの盛り上がりも受けながら、フランス大会で初めてワールドカップに出場できた。そんな日本サッカーの激動の時代に代表に絡めたということは、自分にとっては大きな財産ですし、いろんな時代を知っているということが自分にとってはすごく大きいのかなと思っています」

 結果的に井原にとっての、そして日本代表にとっての初めてのワールドカップは、3連敗でグループリーグ敗退に終わった。

 だが、今にして思えば、当時の日本代表はあらゆる点であまりにも経験不足だった。井原は当時を振り返り、そんなことを感じている。

「我々選手の経験不足はもちろんですが、スタッフや協会の方々にとっても初めてのことだったので、ワールドカップで勝つためには何が必要か、というところでの経験が足りなかった。今の日本代表は7大会連続で出場を決めて、上位に行くために必要なことが整理されている段階だとは思いますけど、当時はそういうことがまったくわからなかった。ある程度しょうがないことだったとは思うし、その経験があったから今があるのかなとは思いますけど......。

 当時はワールドカップというもの自体が初めての経験で、事前に海外でのテストマッチもできずに直前キャンプで初めて2試合だけやって本番に臨みました。試行錯誤しながら本番に向かうという状況だったと思います。その過程では、ワールドカップ直前に(本大会の登録)メンバーを選ぶということがあり、日本中からいろんな意見が出るような状況にもなってしまいましたし。

 やはり全体的に準備不足と言いますか、もっと違う準備の仕方があっただろうとは思います。何がいいのかわからないまま、とにかくワールドカップに突入していったという感じではありましたね(苦笑)」

 初めてのワールドカップ出場から24年。今にして思うと、何より準備不足だったと感じるのはメンタル的な部分。すなわち、「我々はワールドカップに出場することに少し満足していたのかもしれない」ということだ。

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