明神智和が明かす20年前のトルコ戦の悔恨。違う結果になったかもしれないワンプレー (3ページ目)
日本は前半を無得点で終えると、後半開始から、三都主に代えて鈴木隆行を、稲本潤一に代えて市川大祐を、それぞれ投入。この交代に合わせて、明神は右アウトサイドMFからボランチへとポジションを移している。
「イチ(市川)が入ることによって、左右両方のサイドから攻撃が仕掛けられるので、そのカバーリングはもちろんですが、僕自身もチャンスがあれば、前にどう絡んでいくかっていうことを考えていました。(同様に後半からボランチに移った)チュニジア戦の時は、(引き分けでもよかったので)とにかくリスクマネジメントをしっかりすることを主にやっていましたけど、トルコ戦に関しては、少し前に行けたら、っていう思いはありました」
しかし、選手交代も奏功せず、「ただただ時間だけが過ぎていくというか、チャンスを作れず、徐々に焦りが生まれてきました」。
トルコにとっては、まさに思う壺だったはずだ。
「こっちが力を出し切って負けたというよりも、出させてもらえずに負けたというか......。もちろん、それも含めて自分たちの力なんですけどね」
結局、日本はわずか1点が遠く、0-1で敗れた。
日本にチャンスらしいチャンスがほとんどなかったこの試合、多くの人が記憶している最も惜しかったチャンスは、前半43分、三都主が放ったFKがクロスバーを叩いたシーンだろう。明神にとってもまた、「あれが一番に思い出される」場面である。
だが、明神にはもうひとつ、この試合のなかで忘れられないシーンがあるという。
もしかすると、自分の力でトルコ戦の結果を変えられたかもしれない――。そんな自戒の念と相まって、はっきりと記憶しているワンプレーである。
「僕自身、後半にペナルティーエリアの外、左45度ぐらいから当たり損ねのミドルシュートを打っていて......」
そう振り返るのは、後半63分のことだ。
ボランチに回った明神は、ボールを左サイドへ展開すると、自らも前方へ進出。ドリブルでペナルティーエリア左脇までボールを運んできた鈴木隆行からのパスを受けた。
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