日本代表戦をブラジル代表はどう感じたか。「ファウルがひどい」と非難の嵐

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 日本対ブラジルの試合について、日本でどのように報道がなされているかは知らない。しかし、ブラジルではある種の驚きをもって、伝えられている。それほど、日本のプレーは荒く暴力的だった。これは我々ブラジル人が持つ日本のイメージと大きく異なるものだった。

 日本は世界のなかでも、フェアプレーの代名詞のようなチームではなかったのか。礼儀正しく、試合後もきれいにロッカールームを掃除していくのではなかったか。サムライはその誇りを失ってしまったのか。

 サッカーで相手を抑えるには4つの手があると言われている。1・技術、2・戦術、3・マーク、4・ファウル、そして番外・汚いファウルだ。今回、日本はブラジルを、この番外の手で止めようとした。使ってはいけない禁じ手だ。それは試合後の監督や選手のコメントからもうかがえる。

「日本はファウルを武器として使った。これは重いことだ」(チッチ監督)

「日本の暴力的なファウルはブラジルを驚かせた。私の知っている日本とは違う。明らかにいきすぎだった」(セザール・サンパイオコーチ)

「レアル・マドリードでプレーしていても、こんなひどい当たりにあったことはこれまでなかった。きっとカタールは日本にとっては難しいW杯になるね」(エデル・ミリトン)

「ボールを持つたびに、ひどいファウルをされるのではないかとビクビクしていた。だからボールが足元に来てもすぐにボールを離したよ」(フレッジ)

ブラジルのテレビ中継で評価されていた数少ない日本人のひとり、伊東純也 photo by Sano Mikiブラジルのテレビ中継で評価されていた数少ない日本人のひとり、伊東純也 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る ブラジルの選手たちはいったい何度、日本の選手たちに倒されただろうか。なかでも一番の標的にされたのはネイマールだ。19のファウルのうち13はネイマールに対するものだった。

 ネイマールは最初の3、4回のファウルのあと、怒って小競り合いとなった。しかし、それでも相手がファウルを止めないと知ると、今度は反応しないようにしていた。そしてファウルが10を超えると、審判と顔を見合わせ、呆れて笑うしかないという感じだった。この日の主審は、実はネイマールとはかつてからの知り合いだった。止まらないファウルにふたりが苦笑を交わすシーンは、テレビカメラも抜いていた。

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