J開幕前夜の劇的な日本代表の一戦。福田正博は自身のベストゲームにチョイス「あの時がピークだった」
日本代表「私のベストゲーム」(9)
福田正博編(前編)
これまでに数多くの選手たちが日本代表に選出され、W杯やW杯予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップなど、さまざまな舞台で活躍してきた。そんな彼らにとって、自らの「ベストゲーム」とはどの試合だったのか。時を経て今、改めて聞いてみた――。
Jリーグ開幕前夜。当時はまだ、日本が一度もワールドカップに出場したことのなかった時代である。
「なんていうのかな、日本サッカーの過渡期......、いや、過渡期なんてものじゃない。転換期、変革期......、もう革命期と言ってもいいかもしれない。それくらい、いろんなことがそれまでとはガラッと変わりましたよね。僕はその(変化の前後)両方に身を置けたっていうことが、ものすごく大きな財産になっています」
そう語る福田正博が選んだ、自身の日本代表ベストゲームは、まさに日本サッカーが大きく変わるきっかけとなった大会での1試合。
1992年11月6日、広島スタジアムで行なわれたアジアカップ準決勝、日本vs中国の一戦だ。
1992年アジアカップで際立った活躍を見せた福田正博この記事に関連する写真を見る 福田がこの試合をベストゲームに選んだのには、主にふたつの理由がある。
まずは、「チームが右肩上がりに成長していて、すごく勢いを感じていたし、そういうなかで、自分がすごくいいパフォーマンスができていた」からだ。
1992年4月、オランダ人のハンス・オフトが初めて外国人として監督に就任した日本代表はその年、初陣のキリンカップを皮切りに、オランダ遠征、ユベントスを迎えての親善試合と、立て続けに強化試合を行なっていた。
そんななか、チーム内での存在感を強めていたのが、当時25歳の福田だった。
「オフト(が監督だった時代)の代表のなかでは、自分で言うのもなんですけど、キーマンになれたのかな、というふうには思っています」
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