攻撃面ではデメリット現象増加。森保ジャパン、付け焼刃の4-3-3は続くのか (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 過去2試合でインサイドハーフを務めたのは、南野拓実と鎌田大地というアタッカーの選手だったが(アンカーはどちらも遠藤航だった)、今回はアンカーに遠藤、インサイドハーフには田中碧と守田英正という、4-2-3-1時にボランチでプレーする選手を配置し、彼らが流動的に動きながら広いミッドフィールドをカバーした。

 前者がピッチ上にアタッカー5人を配置する超攻撃的布陣とするなら、後者はアタッカーを3人だけで構成する守備的布陣と解釈できる。その意味では、オーストラリア戦で初めてお目見えした4-3-3は、プランDと言ってもいい。

 これまで一貫して採用し続けた布陣を使わず、崖っぷちの大一番で過去に一度も試していない戦術をぶっつけ本番で採用すること自体、尋常ではない。試合後の森保監督は、田中と守田の調子が良かった点や、オーストラリアとのマッチアップを考えて4-3-3に変更したと語っていたが、おそらくそれは建前の話だろう。

 実際は、自分の信念を曲げてでも結果を出さなければいけない状況に追い詰められたうえでの、大きな決断だと思われる。もし選手の調子や相手との噛み合わせが理由なら、過去42試合中39試合で4-2-3-1を使い続けたことの説明がつかないからだ。

 いずれにせよ、日本の布陣変更は4-2-3-1を想定していたオーストラリアのゲームプランを大きく狂わせ、一定の効果を示したのは間違いなかった。ピッチ上でいくつかの変化が表れたなかで、まず目を引いたのが日本の守備方法だ。

 4-2-3-1(4-4-2)を採用するオーストラリアに対し、日本の前線は3人。そこで、相手のビルドアップの際は両ウイングの伊東純也と南野が中央に絞って、高い位置をとる相手両サイドバック(SB)へのパスコースを遮断しながらプレッシャーをかけた(外切り)。1トップの大迫勇也は、無理して相手センターバック(CB)にプレスをかけず、中央のパスコースを限定すべく、伊東と南野よりも下がった位置にポジションをとった。

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