スペインの名指導者がサウジ戦に苦言。「柴崎はプレーの精度を自ら落としていた」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 また、もともとFW的な選手が多く配置されていたことで、攻撃を分厚くするための時間を作ることができなかった。日本が得意とするコンビネーション攻撃は、まったくと言っていいほど影を潜めていた。

 もっとも、前半に決定機を多く作ったのは日本である。

 冨安健洋のロングフィードから右FWのような位置に入っていた浅野拓磨が抜け出し、そのクロスを逆サイドの南野拓実がヘディングで合わせたシーンは、戦術的な狙いどおりだろう。また、中盤で相手ボールを奪い、鎌田大地がすかさず、前線の大迫勇也に入れ、GKと1対1になったが、これは決めることができなかった。また、酒井宏樹の右からのクロスに大迫がニアに飛び込んだシーンも際どかった。

 ただ、ボランチから前線にかけての連係がスローで、連続攻撃は生み出せていない。それによって、ペースを握るに至らなかったのだ」
 
 後半25分過ぎ、日本は柴崎から吉田麻也へのバックパスを奪われ、それをそのまま相手FWに決められてしまっている。エチャリは決勝点になったシーンについて、独自の解釈を示した。

「柴崎はパスをつないでリズムを出そうとしていたが、それに失敗していた。すでに指摘したように、戦況をどうにかしようとサイドに開いていたのかもしれないが、むしろ攻守のバランスを悪くしていた。もうひとりのボランチである遠藤航との距離感ができてしまい、プレーにテンポが出なかった。そのせいで柴崎本人も視野が狭くなって、ストレスもかかっていたのかもしれない。他のシーンでも、ポジション的な不利で孤立気味となり、プレーの精度を自ら落としていた。

 そのミスは、プレー全体の一端にすぎない。

 結果的に、サウジアラビアのポゼッションを軸にした戦い方が功を奏したと言えるだろう。決して多くの決定機を作ったわけではなかったが、主導権を握っていたことで、じわじわと戦い、日本のミスを誘った。交代で投入した選手も、決勝点を奪う仕事をしていた。

 日本は立ち上がりから後手に回ってしまい、結局、それを試合を通して引きずることになった。最後は原口元気、古橋亨梧を投入し、流れを引き寄せたが、万事休すだった」

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