浦和レッズレディース塩越柚歩が好きだった選手。「実は昔からプレー集とか見たりしてました」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text & photo by Hayakusa Noriko

──待ちに待ったWEリーグが開幕しました。心境の変化はありましたか?

「サッカーでお金をいただくことで、責任感は強くなりました。周りの見る目が変わってきていることも感じます。一番身近に感じるのがSNSをフォローしてくれる人が増えたこと! オリンピック前はインスタが7000人くらいだったのが今3万人になっていて、オリンピックってすごいですね」

──開幕戦は日テレ・東京ヴェルディベレーザとの注目のカードでした。

「開幕ということで、お客さんもたくさん入って、すごく楽しみでワクワクしていました。ベレーザからしたら、去年優勝したレッズに勝ちたいっていう気持ちかもしれないけど、自分のなかでベレーザってなかなか勝たせてもらえない相手なんですよね」

──決勝ゴールは塩越さんでした。相手が3枚でコースを消しに来ていたなかでの会心のゴールでしたね。

「ああいうターン(ゴールを背にしての反転)が結構得意なんです。右足のインサイドで前を向くのは好きなので、こぼれ球が来た時点で前を向けそうな感覚があった。シュート練習も去年より増やしていて、アップの時も調子がよかったので狙いどおりでした。今年は点に絡むプレーを増やしたいんです」

──あまりゴールを目標にするタイプに見えないのですが。

「確かにいつもは年間1ゴールとかですから。でも去年は3点とって、皇后杯でも決めて、代表でのゴールもできたので、自分のなかで点をとれるプレーヤーになりたいって思い始めたんです。レッズってボールを回してる時間は長いけど、誰かが仕掛けなきゃ局面の打開はできない。そのプレーが自分にはできるなぁって思って。シュートのパワーもなくはない。身体もそこそこ大きいし(166cm)、周りを生かしながら生かされたい。ここ最近、点をとる機会が増えて、自分のなかで『ひょっとして自分も点をとれる選手なんじゃないか?』って自信がついてきたのかもしれません」

──第2節はノジマステラ神奈川相模原との対戦で2―0での勝利。ホームゲームでしたが、スタジアムの雰囲気はいかがでしたか?

「開幕戦で貴重な勝ち点3をとれたので、第2節がとても大事だなと思って試合に臨みました。ホーム開幕戦ということもあり、たくさんの方が見に来てくれたなかでしっかり勝ちきれたことはよかったです。自分たちが試合のペースをにぎりながら、自分たちらしいサッカーができたことはプラスに捉えて、修正すべきところはしっかり修正して次節に臨みたいです」

──WEリーグと言えば、リーグの理念にある「多様性社会の実現に向けた活動」を推進するWE ACTION DAYが設定されてますよね。今後こういうことをしてみたいというイメージはありますか?

「ひとりでも多くの子供たちに女子サッカーに興味を持ってもらうことが大事だと思います。プロになったからこそ、チームで動くのもそうですけど、今までお世話になったチームに自分が個人的に何かできたらなって思っています。自分は女子チームに入っていたので、そのチームの選手にとって私の存在は憧れであるとは思うんですけど、一番身近な存在でもある。そういう自分が所属したチームに顔を出して女子サッカーのよさを伝えてみるのもいいのかなって思います。

 自分はサッカーを楽しむことを大事にしているので、そういった姿を見て、周りの人たちにも楽しんでもらいたい。浦和はみんな楽しそうにサッカーしているなっていうのを感じてもらって、また見に来たいなって思ってもらえると嬉しいです」


塩越柚歩
しおこし・ゆずほ/1997年11月1日生まれ。埼玉県川越市出身。川越高階イレブンス/川越女子ジュニアSC→浦和レッズレディースジュニアユース→浦和レッズレディースユース→浦和レッズレディースを経て、現在、三菱重工浦和レッズレディースのMFとして活躍中。なでしこリーグ2020ベストイレブンに選出。日本代表として、FIFA U-20女子ワールドカップ(2016年)、東京2020オリンピック(2021年)に出場した。Twitter→@yuzuho_19 Instagram→@yuzuho_shiokoshi19

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