スペインの名指導者が日本代表のオマーン戦を斬る。「中盤は横パスばかり、サイドで幅も深みも作れていない」 (2ページ目)
エチャリはそう言って、いつもの日本ではなかったことを強調した。
「これまでも書いてきたことだが、日本の最大の武器は『(技術の高さ+スピード)×コンビネーション』にある。だが、コンディションが悪かった影響か、判断が悪く遅いことでスピードが足りず、相手の裏を取る連係も生まれない。その結果、押し込めずに波状攻撃を創り出せなかった。
後半3分、長友が左サイドでボールを持ち込み、ファーサイドの伊東の頭に合わせたシーンは、最大の決定機だったと言えるだろう。押し込んだことによってセカンドボールを拾い、交代出場の古橋亨梧がクロスを折り返し、遠藤がシュートに持ち込んでいる。ブロックされて得点はできなかったが、こうした攻撃を続けていれば、状況を打開できたはずだ。
そもそも、日本は組み立ての段階からしてミスが多かった。相手のプレスに簡単にはめられていた。センターバックに抜擢された植田直通は単純なクリアでミスし、コントロールの拙さから呆気なくボールを奪われ、パスの質も高いとは言えなかった。失点のシーンではマークを見失っていた。
攻守は"あざなえる縄のごとし"だが、守備も思わしくなかったと言えるだろう。
相手のサイド攻撃への対処も四苦八苦していた。ハンドによるPKの判定はVARで覆ったが、酒井のサイドを破られたのは事実である。また、コンビネーションからサイドを破られてしまい、ニアサイドに決定的なシュートを浴びるシーンもあり、お株を奪われた形だ。
たしかに局面では、日本も、大迫勇也が右足で巻くようなシュートでゴールを脅かし、卓越したコントロールも見せている。個人の力量では、やはり勝っていた。酒井のクロスから長友が飛び込むようなシーンでも、ダイナミックさが際立った。
しかし、粘り強く、組織的に守るオマーンを破るには、やはり攻撃を重ねる必要があったのだ。
オマーンは4-4-2の戦い方を練り込んでいた。中盤がダイヤモンドの構成は簡単ではないが、お互いの距離感がよかった。選手の士気が高く、スペースを支配し、攻撃を創り出していた。その点で、得点は必然だったと言える。
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