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ロンドン五輪で史上最高の成績をあげた選手たちが、日本代表の中核になれなかった理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Snspix/AFLO

 野心の目覚めは、2014年のブラジルW杯代表メンバー入りにつながった。その後は川崎フロンターレ、名古屋グランパスでプレー。Jリーグで有力なアタッカーの位置を占める。

 逆説的に言えば、試合を重ねれば成長の余地がある世代だった。

 ロンドン五輪で、オーバーエイジの吉田麻也とセンターバックを組んだ鈴木大輔も、そのひとりだ。アルビレックス新潟に入団以来、3シーズン、カップ戦を含めても二桁に出場試合数が達していなかった。五輪の前年に先発出場の座を掴み始め、メンバーに滑り込んだ。

「自分は各年代の代表は経験していますけど、エリートではなくて。試合に出る経験を積み重ねてどうにか成長できたのかなと思います」

 鈴木は、そう明かしていた。

「ロンドン五輪では、モロッコ戦でFW(ノルディン・)アムラバトとマッチアップしたのを覚えています。体を思い切りぶつけてもビクともせず、"やばい"と焦りましたね。でも、食いつきすぎるとスピードで裏をとられそうになったんで、(当時オランダの)フェンロでアムラバトとチームメイトだった(吉田)麻也くんのアドバイスをもらって間合いを変えて......。世界では即応が求められますが、何とかしのげて、試合中の発見がとても楽しかったです」

 鈴木は2013年、アルベルト・ザッケローニ監督が率いた日本代表でデビューを飾り、ハビエル・アギーレ監督には重用されつつあった。スペインのタラゴナでは1部昇格プレーオフを戦い、浦和レッズではアジアチャンピオンズリーグ決勝を戦った。代表には定着できていないが、戦いの中に居場所を見出してきた。今シーズンはジェフ千葉でJ1昇格を目指す。

 五輪という舞台に立つことで、選手は変身の触媒を得る。

 その点、酒井宏樹は五輪で殻を破った選手だろう。実力と経験が高みで交差。五輪の前までは基礎的なマーキングミスや判断の悪さが見えたが、強敵と戦うたび、プレーを改善させていった。失敗を糧にできるディフェンダー。それは異能と言っていいだろう。

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