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U-24日本代表、キーマンは「成り上がり組」。本来出番はないはずが存在感を増している (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 また、登録メンバー枠拡大の恩恵はこれだけにとどまらない。

 川崎フロンターレでAFCチャンピオンズリーグに出場していたMF三笘薫は、およそ1週間遅れで直前キャンプ中のチームに合流。ところが、右太ももに張りを訴え、合流後はかなり軽めの別メニュー調整が続いていた。

 おそらく登録メンバーが18人のままであれば、かなりの緊急事態だったに違いない。少なくとも、1、2戦目は三笘抜きの17人で戦うか。あるいは、三笘をあきらめ、バックアップメンバーと入れ替えるか。そんな可能性もあっただろう。

 だが、そもそも2列目は選手層が厚いうえ、このチームでは左サイドバックを務めるDF登録の旗手怜央も、本来は攻撃的MFが本職。旗手を2列目に回し、左サイドバックには、林と同じくバックアップメンバーだったDF町田浩樹を加えることで、大きな不安を抱える事態には至らずに済んだ。

 本来町田はセンターバック。それでも左利きという特徴を生かし、直前キャンプでは左サイドバックに入ることも多かった。

「本職とは違うが、こだわりなく、試合に出られるなら自分の最善を尽くそうという気持ちで常にいる」

 前向きな姿勢は、間違いなくチームの力となっている。

 ただでさえ、地の利というアドバンテージを手にしている日本にとっては、直前のルール変更がさらに背中を押す追い風となっていることは疑いようがない。

 林をはじめ、当初バックアップメンバーだった選手たちにとっては、本来なら出場機会を得るのが難しかった東京五輪。だが、バックアップメンバーとして名前が発表された時とは比べものにならないほど、彼らの重要性は増している。

 必ずしも実力上位とは言えない日本が東京五輪でメダルを獲得するためには、勢いも非常に大事な要素となる。

 大会序盤で、いかに波に乗るか。そのカギは、バックアップメンバーからの"成り上がり組"が握っている。

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