丸山桂里奈が語るなでしこジャパン10年前のW杯。ドイツ戦での劇的ゴール後、会場の雰囲気に「気持ちワル!!」 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 確かにあの静かさは異様な感覚だった。この決勝ゴールですべての流れはなでしこたちのものになり、一気に頂点にまで駆け上がった。あれから10年、あの優勝で丸山自身にはどんな変化があったのだろうか。

2011年のW杯優勝を改めて語ってくれた2011年のW杯優勝を改めて語ってくれた「あの大会は優勝して盛り上がったけれど、実際には"陽を浴びた人"と"浴びてない人"がいたんですよね。プロ契約になった人もいれば、なってない人もいたし。私はラッキーなことに"陽を浴びた"ほうだったと思うんです。強いチームにいなくてもプロ契約をしてもらえたので。

 でも注目されれば、応援だけじゃない声もたくさん届いて、身近な人には相談してましたね。自分の立ち位置や、どう見られているのか、とか。自分自身よりも近くで見てくれている人のほうが一番わかるじゃないですか。だからそこの意見はすごく大事にしていました。これでいいなって思っていても、自分が思ってるだけで、違う場合もある。そこは間違わないようにしてたし、今もそうしています」

 これはあの大会に関わったすべての選手が考えたことなのではないだろうか。常に自分が立つべき場所、その姿勢を確認しなければならないほど、帰国後の盛り上がりは想像をはるかに超えていた。

 その渦の中で丸山も含め、選手たちは自覚しながらそれぞれの歩みを進めていたのだろう。踏み外さない感覚が備わっていたからこそ、今の丸山があるのだろうと改めて感じた。

profile
丸山桂里奈(まるやま・かりな)
1983年3月26日生まれ。東京都出身。
小学生の頃からサッカーを始め、大学時代の2002年、日本代表に初選出された。ワールドカップにはアメリカとドイツの2大会、オリンピックにはアテネ、北京、ロンドンの3大会、出場している。2016年に引退後は、独特な言い回しの発言が注目を集めてタレントとして活躍中。最近はYouTubeのチャンネルも開設した。

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