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かつての人材難がウソのよう。最強のCBコンビ不在が気にならなかった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 現在の日本代表は、主力のCBをふたりまとめて欠いている。吉田麻也、冨安健洋が、東京五輪を約1カ月半後に控えた五輪代表(U-24代表)に加わっているためだ。

 ともにイタリア・セリエAでプレーする吉田と冨安は、現在の日本代表において特別な存在である。高さとうまさを兼ね備えているという点では、かつて日本代表の最終ラインを支えた闘莉王と中澤佑二さえも上回る、代表史上最高のCBコンビかもしれない。

 だとすれば、彼らが抜けた穴は、そう簡単に埋められるはずもなく、今回の日本代表の活動は他のCBを試す好機である一方で、彼らへの依存度の高さが改めて浮き彫りになる不安もあった。

 だが、「こんなチャンスはなかなかないと思っていた。持っているものをすべて出し切ろうという思いで臨んだ。セルビア相手にどれくらい自分のプレーが通用するのか、楽しみな部分もあった」と谷口。今の日本代表は主力CBをふたりまとめて欠いても、代役がこれだけできる。しかも、そのうちひとりはJリーグでプレーする国内組だ。その事実は、日本代表という1チームに限らず、日本サッカー全体にとって大きな収穫だったのではないだろうか。

 同じ国内組のCB、昌子源も「谷口選手は(チームで)一番すばらしいパフォーマンスだったと、いろんな人が思ったと思う」と言い、「僕も刺激を受けるし、負けたくないという気持ちもある」と話す。

 もちろん、相手のセルビアは「今回来ているのはAチームだが、Bチームのメンバーも入っている。チャンスを与えられた若い選手がどういうプレーをするかが重要だった」(ドラガン・ストイコビッチ監督)。主力選手が顔をそろえ、シビアな勝負を挑んでこられたら、これほど楽には戦わせてもらえなかっただろう。

 それでもかつての日本なら、A代表での実績に乏しい若手にさえ、たやすく手玉に取られていたかもしれないのだ。谷口が力強く語る。

「久々に代表に呼ばれて、これくらいできると見せないと次はない」

 代役が覚悟を持って臨んだ一戦に、かつて感じた脆さはなかった。

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