「日本をなめんじゃねぇぞ」。松田直樹が語っていた日韓W杯の熱狂とベスト16敗退 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

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 しかし何より、グループリーグ突破をひとつの目標に掲げていたチームは、半分、ゴールテープを切った感覚に浸っていた。気を抜いたわけではない。しかし選手によって、「ここまでよく戦った」という心境も生まれていたという。

「我々は自分たちの目標を達成し、ラウンド16に到達した。この試合は、2006年のドイツW杯に向け、準備のための最初の試合になる。君たちはもっと多くのことを見せなければならない。より多くの責任、自信で挑み、それが経験になる」

 トルコ戦に向け、トルシエ監督はそう選手に語りかけたという。しかし、後に本人が「間違いだったかもしれない」と回顧している。正解が難しいマネジメントだったと言える。

◆中田英寿を上回る天才に起きた悲劇。リーガに「ぶっとんだ自信」で挑んだ>>

 トルコ戦、日本の立ち上がりは悪くなかった。中盤での攻防はわずかに優勢。相手が警戒していたのもあるのだろう。

 しかし10分を過ぎ、自陣で左センターバックに入っていた中田浩二(鹿島アントラーズ)が、不用意な横パスを相手に渡してしまう。そのボールが再びこぼれてきたが、続けてGKへのバックパスをしくじり、CKを与えてしまった。そして巻き込むように入ってきたクロスに、ゾーンディフェンスは単純な人の動きによって崩され、フリーのウミト・ダバラに豪快なヘディングを打ち込まれた。

 完全に隙を突かれた形だ。

 その後、日本は反撃に転じている。しかしFKのサインプレーが完全にずれてしまったり、スペースに出したパスにFWが止まってしまったり。逆にGKとDFの間に際どいクロスを送ってもFWが飛び込まなかったり、ちぐはぐなプレーが続いた。

 後半、交代出場の鈴木隆行がチームに深みを与えるキープや空中戦を見せ、ゴールに迫った。中田英寿がエリア外から放ったミドルはセンスを感じさせたし、クロスを西澤がヘッドで狙い、中田英寿が鈴木にヘディングで決定的パスを送り、西澤は反転から何度かシュートを狙っている。攻め上がった松田は起死回生を狙って、こぼれ球を遠目から叩き込もうとした。

 だが、0-1の敗北で"冒険"は幕を閉じた。

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