2020.06.15

底が知れん! 冨安健洋は
レベルが上がるほど潜在能力が引き出される

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第24回 サッカー・冨安健洋
代表の主力に定着したアジアカップ(2019年)

 アスリートの「覚醒の時」――。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか……。筆者が思う「その時」を紹介していく――。

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2019年アジアカップで日本代表での確固たる地位を築いた冨安健洋 男子サッカーにおけるオリンピックは、世界一を決める頂上決戦である他の競技とは異なり、ある意味で特殊な大会だ。

 オリンピックの出場資格があるのは、原則として23歳以下。大会登録メンバー18人のうち、3人までは24歳以上(オーバーエイジ枠)の選手を入れることが可能だが、2020年東京五輪の場合で言えば、基本的には1997年以降生まれの選手が対象となる(開催が1年延期になっても、この基準には変更がなく、来年は24歳以下が対象となる予定だ)。

 男子サッカーの世界一決定戦はあくまでもワールドカップであり、五輪は23歳以下の世界大会という位置づけになっている。

 つまり、五輪に出場する選手は、よくも悪くも発展途上。まだまだ未熟とも言えるが、裏を返せば、底知れぬ成長力を秘めているとも言える。

 だからこそ、面白い。

 若く伸び盛りの選手というのは、時に大きな大会で突如化ける。高いレベルに触れることで、それまで眠っていた力が引き出されるからだろう。

 1試合ごとに、いや、1プレーごとにさえ、選手がみるみるたくましくなっていくこともあるほどだ。