2020.06.01

日本サッカーの未来が懸かった一戦。
窮地を救ったカズの魂の右足

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • photo by AFLO

サッカー日本代表・心を揺さぶられたベストゲーム
第1回:
1992年11月3日 アジアカップ グループリーグ
日本1-0イラン

見る者の想いを背負い、世界トップクラスを目指して走りつづけてきたサッカー日本代表。その長い戦いのなかで、歴史を大きく動かした名勝負がある。このシリーズでは、各筆者がそれぞれの時代のベストゲームを紹介していく。

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 3万7000人の観客で埋まった広島広域公園陸上競技場「ビッグアーチ」で、日本代表はイランと戦っていた。

92年アジアカップのイラン戦。終盤にカズが決勝ゴールを決める 日本はアラブ首長国連邦(UAE)とは0-0、北朝鮮とは1-1と、共に引き分けに終わり、グループ3位で最終戦を迎えることとなった。2位イランとは勝点1差だが、"直接対決"に勝たなければ、そのままグループリーグ敗退となってしまう。

 引き分けでも準決勝進出が決まるイランは、当然のように守備を固めてきた。しかも、GKのアーマッド・レザ・アベドザデやCBのメフディ・フォヌーニザデガン、SBのジャバッド・ザリンチェなど、イランの守備陣は高さもあり、とても強力だった。そして、53分にFWのジャムシッド・モハマディが2枚目のイエローカードで退場となったことで、イランの守備意識はますます高くなっていた。