稲本潤一が明かす、ドイツW杯と
南アフリカW杯は何が違ったのか (3ページ目)
稲本が言う「ガチャガチャしていた」チームは、急きょキャプテンが中澤佑二から長谷部誠に代わり、レギュラーからGK楢崎正剛、DF内田篤人、MF中村俊輔らが外れ、システムも試行錯誤の末、アンカーに阿部を置く4-1-4-1に変わった。
そして、新しく生まれ変わったチームはW杯本番、劣勢と見られていた初戦のカメルーン戦を1-0で勝った。
「初戦に勝てたのは、めっちゃ大きかった。『このやり方で間違っていないんだ』っていうのがわかって、それが自信になった。
初戦に至るまでのプロセスとか、(選手たちの)気持ちは、ドイツW杯の時とはぜんぜん違ったね。危機感をみんなで共有して、同じ方向を向いて、初戦にかける思いがすごかった。ドイツW杯の時は、そういうのが足りてなかった。その(選手たちの)思いの差が、初戦の結果になって出たんかなと思う」
2戦目のオランダ戦は0-1で敗れたものの、3戦目のデンマーク戦を3-1と快勝。日本は、見事にグループリーグを突破した。
決勝トーナメント1回戦では、パラグアイと対戦した。試合は0-0のまま延長戦に突入。そこでも決着がつかず、PK戦(3-5)の末、惜しくも敗れた。
「負けた時は、寂しさがあった。(途中出場で)2試合しか出ていないし、『もっとこのチームでやりたかったな』という思いが強かった。
ベスト16という結果は、このチームとしての限界ではなかったと思うけど、その壁を超えるには、(チームの)一体感だったり、勢いだったり、気持ち(の強さ)だけでは足りない。それにプラスして、ほんまの力をつけていかないとベスト16の壁は超えられへんとあらためて思った」
この南アフリカW杯の時と似ている状況だったのが、昨年のロシアW杯だ。大会を目前にしてヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任され、急きょ指揮官が西野朗監督に代わった。立て直しを図る時間がほとんどないなか、危機感を抱いた選手たちが団結して、本番を迎えた。
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