日本代表が格下相手でもアウェーで苦戦するのはなぜなのか? (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 日本代表の場合、海外組は現地集合・現地解散だったが、Jリーグ組はチャーター機で一度インドのニューデリーに行き、そこで飛行機を乗り換えてキルギスに向かっている。移動距離と時差だけでも、選手への肉体的、精神的な負担は小さくない。

 さらに、来年3月に予定されているアウェーでのモンゴル戦は、例年なら気温は氷点下になると言われている。経験したことのない環境でのプレーが求められるのが、アウェーなのだ。

 そうしたなかで結果を残すには、気候条件やピッチコンディション、時差といったものの違いをすべて受け入れるしかない。そして、「やりたいことをやる」のではなく、「できることをやる」と、頭を切り替えなくてはいけない。

 日本代表が4連勝したのも、選手一人ひとりが、ベンチからの指示を受けながらも、環境と相手に応じて臨機応変にプレーしたからだ。

 キルギス戦に限れば、大迫勇也と冨安健洋を欠き、五輪代表へ融合させるために堂安律と久保建英を招集しなかった。メンバー的に万全ではないなか、森保監督は3年後のW杯本大会に向けた一手を打ったように感じた。

 それはプレッシャーの大きな試合を、数多くの選手に経験させるということだ。キルギス戦では相手が手にしていた日本代表の情報量は多く、日本代表が手にしていた相手の情報量は多くはなかった。実際、現地のスタジアムで、「キルギスは3バックなのか、4バックなのか」を選手が私に訊ねてきたほどで、そのなかで勝利が求められる苦しさは、出場した選手にしかわからないものだ。

 相手の出方がわからないなかでは、キックオフ直後の立ち上がりは大切になる。立ち上がりから積極的に前に行くのは日本代表の長所のひとつだが、相手の攻撃を受け止めながら、慎重に立ち上がっていくのはあまり得意としていない。この傾向はキルギス戦でも表われていた。

 失うもののない相手に、立ち上がりから何度かいいパスを通されて崩されかけた。そうしたなかで、ベンチからの指示もあったにせよ、選手が対応を変えながら相手の攻撃を封じたことは収穫と言えるだろう。

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