U-22代表を上回る酷い試合で、後半の反撃を称える森保監督にあ然

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 先ごろブラジルで開かれた、U-17ワールドカップでのことだ。

 U-17日本代表は優勝候補のオランダを破るなど、グループリーグを2勝1分けで首位通過。チームを率いる森山佳郎監督も「上に行けそうな気がしていた」と話すほど、チームの雰囲気はよく、史上最高成績となるベスト4進出も可能ではないかと期待された。

 ところが、日本は決勝トーナメント1回戦でよもやの大失速。森山監督が「全然ボールへ(プレッシャーをかけに)いけなかった」と振り返ったように、守備からリズムを作ることができず、メキシコに0-2で敗れた。

 2点のリードを許した試合終盤こそ、「ゴールへ向かう勇気がラスト20分でやっと出た」と指揮官。だが、不用意に与えてしまった2ゴールを、メキシコも簡単にはチャラにしてくれなかった。

「そこから決定機が3、4度あったので、一個でも入れていれば勢いが増したと思うが、残念ながらそうはならなかった。ワールドカップの舞台は、甘くないぞということ」

 厳しい表情でそう語った森山監督は、終盤の反撃を手放しに称えることなく、むしろ「2失点食らってから、ようやくゴールに向かう勇気、迫力が出た。もっと早く出せないかというところはあった」と、反省の弁を口にした。

 同じようなことは、8年前にもあった。舞台は同じく、U-17ワールドカップである。

 FW中島翔哉、FW南野拓実、DF植田直通らを擁する当時のU-17日本代表は、自国開催の1993年大会を除けば、初めてベスト8へ進出。ピッチを広く使ってボールを動かし、流麗なパスワークで相手を翻弄するサッカーは、現地メキシコでも「まるでバルサのようだ」と称えられた。

 しかし、準々決勝では、ブラジルの鋭い読みと速い出足の前に、得意のパスをつながせてもらえない。リズムに乗れない日本は、後半15分までに3点を失った。

 その後、日本は中島のゴールなどで2点を返した。1点差に迫った試合終盤は、スタンド全体に「ハポン(日本)コール」が響いた。結局、2-3で敗れはしたものの、日本もよく健闘したと言っていい試合だった。

 だが、当時のU-17日本代表を率いていた吉武博文監督は、「もちろん、いい部分は当然あったが」とつけ加えたうえで、こんなことを話している。

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