堂安、久保が入ってもコロンビアに完敗。だが、問題は選手ではない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 このチームは選手にとって、監督が誰なのか判然としない状態にある。メンバーを決めたのは誰なのか、布陣を決めたのは誰なのか。「横内コーチと話し合って決めた」と森保監督は語るが、U-22の実情を詳しく把握しているのは横内コーチの方だろう。このコロンビア戦は、兼任監督の弊害が白日のもとに晒された試合と言っても言い過ぎではない。

 さらに言えば、だ。翌々日には大阪で日本代表のベネズエラ戦が控えている。新顔4人を含む9人の国内組が新たに加わった日本代表の監督としての仕事が、である。その練習現場に駆けつけるのは試合前日。それまでは斉藤俊秀コーチが、森保監督に代わって現場を預かっている。

 にもかかわらず、メンバーを決めるのが森保監督だとすれば、練習でアピールしようと頑張っている9人の国内組が不憫に見えてくる。

 話をコロンビア戦に戻せば、布陣を4-2-3-1に変更してからも、連係、連動は図れなかった。そのサッカーは出たとこ勝負の個人プレーに頼っていた。連係、連動の象徴とも言うべき、サイドバックとその一列上で構えるサイドアタッカーがコンビネーションを図る機会は1度限りに終わった。日本の4バックは、3バック同様、ほぼ後方に待機する格好だった。訓練されていないことは明白だった。

 さらに、メンバー交代6人制で行なわれた試合であるにもかかわらず、日本は5人しか代えられなかった。リードされているチームなのに、だ。6人をきれいに使い切り、そのタイミングも総じて早かったコロンビアのアルトゥーロ・レジェス監督との差も目立った。

 終盤、前田大然(マリティモ)を投入すると、もはや日本の布陣は定かではなくなっていた。好意的に解釈すれば4-1-4-1に見えたが、攻撃の人数を多く増やしただけの、非論理的な力攻めにしか見えなかった。

 突っ込みどころ満載の試合。選手に対してというより、監督、コーチに対してだ。選手に何かを求める前に、するべきことがある。強化体制の見直しが求められていると言わざるを得ない。

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